市場拡大中の「ロボアドバイザー」について初調査、総合ランキング1位は「WealthNavi」〜オリコン顧客満足度調査

ロボアドバイザーのイメージイラスト

 終焉を迎えつつある終身雇用制度や公的年金だけでは不十分という「老後2000万円問題」。加えて、昨年来のコロナ禍による先行きの不透明さから、個人の資産運用によって将来に備える動きが広がっている。数ある手法の中でも、AIなどを用いた独自のプログラムが、投資商品の選定から売買、乱高下によるリバランスに至るまでオートマチックに運用を支援してくれるサービス「ロボアドバイザー」は、初心者でも取り組みやすく、ここ数年で市場を大きく伸ばしている。

 そうした業界動向を受け、顧客満足度調査を行うoricon MEでは、「ロボアドバイザー」の顧客満足度ランキングを初発表。満足度総合1位には、68.4点を獲得した【WealthNavi】が選ばれた。

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 日本では2016年頃より立ち上がったロボアドバイザー市場は、玄人から一般投資家や投資未経験者へと利用が広がりを見せていくことにより、年々市場が拡大。日本能率協会総合研究所が2019年8月に発表した市場推計によると、口座の開設数は2020年度が約110万口座のところ、2023年度には約260万口座規模になると見通されている。

 そうしたなか、本調査では、2021年1月29日〜2月3日の期間、現在ロボアドバイザーを利用し、かつ1年以上運用を行っている20歳〜84歳の1463名に、自身が利用したサービスの満足度について回答を得た。対象企業については、「インターネット上で、ユーザーのリスク許容度や運用目的からポートフォリオを自動で作成し、投資商品の売買や、相場状況に応じたリバランスを自動で行う資産運用サービスを提供する企業」と定義し、今回は該当する7社について調査を行った。

 満足度総合ランキングを構成する評価項目は、「運用設定のしやすさ」「手数料の妥当性」「運用実績の納得感」「提供情報の充実さ」「キャンペーン」「セキュリティ」の6つで、これらは全12の設問から形成。なお、ランキングは「満足度総合」のほか、これら6つの評価項目別の結果も発表している。

ロボアドバイザーランキング 満足度総合 TOP3

順位

サービス名/(得点)

1位

WealthNavi (68.4点)

2位

楽ラップ (67.3点)

3位

THEO (64.4点)

総合1位の【WealthNavi】、とくに“運用面”に関して高い支持

  • WealthNaviのロゴマーク

 満足度総合1位を獲得した【WealthNavi】は、「働く世代に豊かさを」というミッションのもと、2016年7月に正式リリースされたもの。組織としては、従業員の約半数がエンジニアやデザイナー等のクリエイターである点が特徴で、UI、UXをはじめ、利便性の高いサービスが提供されている。運営会社のウェルスナビは、昨年12月に東京証券取引所マザーズに上場。2021年3月31日時点で預かり資産は4000億円を突破し、同業界においてその存在感を一層高めている。

 全6つの評価項目別ランキングでは、「運用設定のしやすさ」(75.5点)、「運用実績の納得感」(70.0点)、「提供情報の充実さ」(67.6点)の3項目で1位に。なかでも、機能の充実さや積立設定の自由さなどについて聞いた「運用設定のしやすさ」と「運用実績の納得感」では70点台をマークし、“運用面”に関して利用者からとくに高い評価を得ている。

 回答者からは、「投資などの知識がまったくないまま始めましたが、手続きも簡単で運用もわかりやすく誰にでも始められやすいと思った。株価の下落などで不安になることもあったが、そういった時には適切なコラムなどが送られてきて安心して続けられている」(30代・女性)、「積み立ての設定が簡単ですぐに始められることや、アプリ画面が見やすいのがいい」(30代・男性)との声が。自身の大切なお金を扱うことから少々ストレスが溜まりがちな資産運用だが、信頼感を持ってスマートにサービスを利用している様子がうかがえる。

総合2位は楽天証券の【楽ラップ】、3位【THEO】は「手数料の妥当性」で高評価

資産運用のイメージイラスト

 満足度総合2位は、楽天証券が提供する【楽ラップ】(総合得点67.3点)。楽天グループが運営していることから、回答者コメントを見ると、ロボアドバイザーのほかにも楽天サービスのユーザーであると思われる人が散見されたほか、「セキュリティが高く、会社の信頼感もあり満足」(40代・男性)というように、同社のブランド力の高さも利用者の満足度につながっている様子が垣間見られた。

 評価項目別ランキングでは、「セキュリティ」(70.3点)、「手数料の妥当性」(64.6点)、キャンペーンの充実さなどを評価した「キャンペーン」(64.3点)と、全6項目中3項目で首位を獲得している。

 続いて、満足度総合3位には、お金のデザインが運営する【THEO】(総合得点64.4点)がランクインした。評価項目別ランキングでは、「手数料の妥当性」(62.6点)で2位の評価を獲得。同サービスでは、積立や出金実績など、サービスの利用状況に応じて引き下げられるランク別の手数料体系を導入しており、利用者からは「いろいろな手続きが簡単だし、手数料の色分けも嬉しい」(60代・女性)との声が寄せられている。

ロボアドバイザー利用者の状況 「30代」はリスク許容度高めで、成績も上振れ傾向

 今回の調査では、各サービスの満足度に加えロボアドバイザーの利用実態についてもリサーチ。ここでは、利用者のボリュームゾーンである30代〜50代(n数合計=1108)の年代別の結果について見ていく。

ロボアドバイザーの利用実態調査グラフ(左から、設定したポートフォリオに対しての成績乖離/現在のリスク許容度)

 まず、多くの人が気になることとしては、ロボアドバイザー利用者たちの成果についての部分だろう。「設定したポートフォリオに対しての成績乖離」の設問を見ると、【かなり上振れている】(30代:7.5%、40代:11.1%、50代:6.4%)、【やや上振れている】(30代:42.7%、40代:34.3%、50代:32.0%)の回答の合計値が、30代は50.2%、40代は45.4%、50代は38.4%という結果に。【予定通り】(30代:32.4%、40代:33.6%、50代:36.6%)も各年代ともに3割以上おり、これらのデータから全体的に見て運用状況に手応えを感じている人は多いようだ。

 ちなみに、「現在のリスク許容度(株への投資割合)」についての問いでは、30代、40代でともに【やや高く設定】(30代:33.8%、40代:32.5%)している人の割合が最も多かったのに対し、50代は【中間に設定】が最多で32.7%。なお、【一番高く設定】している人の割合を見ると、30代:31.5%、40代:26.2%、50代:17.2%という結果で、若い世代のほうがリスク許容度を高めに設定する傾向にあることが読み取れた。

 今回データでは、30代、40代、50代のうち、リスク許容度をより高めに設定している30代が、設定したポートフォリオに対して最も成績に乖離のない結果となっているが、状況によってはもちろんマイナスの事態が起こる可能性も。サービスを利用する際は、自身の目標と、それを実現するために冒さなければいけないリスクについて、しっかり理解しておくことが必要と言えそうだ。