活用事例:アップルオートネットワーク

中古車買い取り業界の現状/危機感からのスタート

損益分岐点が低くて利益が出やすいという車買取業のビジネスモデルに対して危機感を持っていた長谷川氏は、社長就任以降、「顧客満足の向上」に取り組んできた。 ところが、「2012年度オリコン顧客満足度ランキング」ではまさかの圏外。この結果を受け、社内改革に本格的に乗り出した。

中古車買取業界の現状とアップルの危機感

 日本の自動車業界の最盛期は1990年で、当時の新車販売台数は777万5000台あった。それをピークに下落傾向となり、昨年は少し持ち直したものの、今では550万台まで落ち込んでいます。新車が売れないと中古車台数も増えませんから、そういう意味で、新車の販売台数にとても影響を受ける業界です。そのため、当社も以前は300数十店舗ありましたが、一時期は200店舗を割り込むような状況まで追い込まれた時期もありました。それでもやってこられたのは、損益分岐点が低くて利益が出やすいという、この業界のビジネスモデルの強みがあったからだと思います。とはいえ、参入障壁が低いこともあり、マーケットは縮小しても競合店は増えているといった厳しい状況です。

 私が社長に就任したのは2008年で、将来を考えた時に、これからは顧客の満足を上げる努力が必要であると感じていました。そこで、最初に行ったのは、「お客様に感動を与えて、喜んでいただくこと」。それを企業理念に掲げて、全加盟店のオーナーに呼びかけることでした。今は車の需要よりも供給のほうが勝っていますから、単に車を売り買いするだけでは、生き残れない時代です。とくに、我々が行っている車買取は、価格で差別化しても一時的なものであって、それ以外のサービスの部分でお客様に訴求していく必要があります。

 そういう思いで顧客満足向上に取り組んできたわけですが、2012年にオリコンから顧客満足度の高い「車買取会社ランキング」が発表されました。驚いたのは、そこには当社の名前はなかったこと。問い合わせると圏外の9位であることがわかりました。この業界の大手チェーンは10社ほどしかなく、当社は顧客満足向上の重要性を早くから認識し、「それなりにやっている」という自負はあっただけに、結果を知って愕然としました。まさに、我々のビジネスに大きな危機感を抱いた瞬間でした。

アップルネットワーク・代表取締役社長 長谷川浩嗣氏
アップルネットワーク・代表取締役社長 長谷川浩嗣氏

「顧客の視点」からデータと商標を「戦略」に取り入れる

2000年より当塾は、「顧客本位」、「独自能力」、「社員重視」、「社会との調和」の4つの要素に基づいたCS(consumer satisfaction=顧客満足度)経営、つまり顧客の視点から経営を行い、新しい価値を創出する「仕組み」作りを行ってきました。そういったなかで、信頼できる第三者機関のオリコンで顧客満足度1位を取れたので、これを当塾の戦略として取り入れ、我々が発信するさまざまな広報物をはじめ、教室現場やネットなど目につくものすべてに掲載して、「No.1」であることをエンドユーザーに強く訴求し、他社との差別化や認知の向上を図っていこうと考えました。また、オリコンのデータを指標として取り入れ、個々の目標に落とし込み、それが達成できた人を表彰するなど、社員のモチベーションアップにも活用しました。

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