顧客からの厚い支持を受け、車買取サービスのアップルがオリコン顧客満足度ランキング「車買取会社」総合1位を獲得しました。創業から約29年間、企業理念として“顧客主義”を掲げてきたアップルオートネットワーク株式会社の長塚秀明代表取締役社長に、顧客に満足していただくための施策やサービス、社員教育などについて伺いました。
何より大切なのは、接客力やサービス力
━━今回で5年連続の1位獲得となりました。まずは率直なご感想をお聞かせください。
長塚秀明氏(以下、長塚) アップルは北海道から沖縄まで全国に240店舗がありますが、皆、オリコンの顧客満足度調査については意識を高く持って行動しておりますので、5年連続1位という評価を頂戴できたことは大変光栄に思っています。
━━御社は本調査をKPIにされているそうですが、その理由と成果を教えてください。
長塚 2012年に第1回目のランキングが発表されたとき、当社は圏外でした。1989年の創業以来、地域で一番愛される店を目指してきた当社にとってこの結果は衝撃で、直後から「オリコン顧客満足度総合1位獲得」をチェーンの目標に掲げて、サービスの向上に専心してきました。そして、2014年10月発表のランキングより総合1位をいただきました。
長塚 アップルでは接客の心構えとして「私達はお客様の安心・信頼・満足と期待を超えるサービスを提供いたします」を“アップル宣言”として掲げています。
お客様の大事なおクルマを査定、買取りさせていただくなかで、当社が何より大切にしているのはお客様を思いやる気持ち、おもてなしの心です。おクルマの売却は、お客様にとって大変大きな出来事ですし、不安も募るなか、心のどこかで信頼出来る人を探しているはずです。
そんなとき、お客様に寄り添いながら、ベストな乗り換え方法が提案できるよう心掛けています。ただ、そういう思いを持って取り組んでいても、お客様にきちんと届いているのか、自分たちのやっているサービスは本当に喜んでいただけているのか、確認できるものはありませんでした。
そのため1位のご評価を頂戴できたことは、従業員の自信や誇りとなり、より一層高い評価をいただきたいという意欲向上にもつながっていると思います。
研修は良い空気感を持ち帰ることに重視
━━顧客満足度を向上させるために行っている教育や研修はありますか。
長塚 FC(フランチャイズ)加盟店向けに「アップルアカデミー」という研修プログラムを設けて、年に13回ほど開講しています。営業商談のテクニックを学ぶことも大事ですが、何のために顧客満足度を向上させる必要があるのかという接客本来のあり方を学べるよう工夫しています。
また、講義スタイルもセミナー形式ではなく、ワークショップ形式を取り入れ、受講者全員が参加できるようにし、参加者の意見、悩み、要望を直に聞き出しながら課題解決できるよう考慮しています。何より、参加者のモチベーションが上がり、その良い空気感を店舗に持ち帰ってもらえることを何より重視しています。
現状に甘んじないためサービスレベル調査を実施
━━ほかに、顧客満足度を意識した施策はありますか。
長塚 5年前から外部に委託して、全店にミステリーショッパー(覆面調査)を派遣し、各店舗のサービスレベルの調査を行っています。全てのアップル店舗のなかで、自分の店舗がどのくらいのレベルにいるのかを意識することは、現状に甘んじず、サービス向上に努める指標となります。また、ミステリーショッパーの結果と連動して、アップルCS認定制度を導入していますが、優良店に認定されるには高得点を2回取らなければなりません。
この2回というのがポイントで、顧客満足度を高めるには「再現性」と「継続性」が重要だと考えています。今ではこの取り組みもしっかりと浸透し、店舗の社員たちも調査結果に非常に興味関心を持ってくれています。「下がったときにその理由が何だったのかを考えるようになった」という声も多く出ており、意識が高まっているのを感じます。上位の店舗は、毎年「お客様満足優良店」として表彰しております。
感動していただけるサービスを提供することが大切
━━本調査の回答者からは、「買取り専門店を初めて利用するにあたりこちらの不安を察してか親切丁寧に対応してくださったことがとても嬉しく思いました」(40代/男性)や「車のことについて無知の私にもわかりやすく説明してくれた」(30代/女性)など、担当者の接客力を評価する声が寄せられておりました。顧客満足を意識したサービスはございますか。
長塚 売却の際、最後に車とお客様を一緒に撮影して名義変更完了のお知らせとともにお送りするサービスを行っておりますが、お客様には大変喜んでいただいております。また、公式ホームページに関しても、申し込みやすくするためにはどうしたらいいか、当社のWebチームが様々な改善策を打っており、今年は昨年比で申し込み率がアップしました。
長塚 私どもはお客様に感謝の心持ちをもって、感動していただけるサービスを提供することが大切だと考えております。そのために、各店舗で様々なサービスを行い、成功事例は毎月発行している「マンスリーアップル」という社内情報共有ツールを利用して全店舗間で共有をしています。
決断の「最後のひと押し」となる店に
━━最後に今後の抱負をお聞かせください。
長塚 創業当初から「お客様に愛される地域一番店」を目指すことを掲げてきた当社は、フランチャイズチェーンとなった今も、「カーライフ文化の創造を通じ、地域社会に貢献することを使命とする」ことを経営理念にしています。お客様が何かを決断するとき、最後のひと押しをしてもらうならアップルだと思ってもらえるようなサービスの提供を今後も追求していきたいと思っています。
(文:河上いつ子)
【調査概要】
調査時期:2018年6月25日(月)〜6月28日(木)
調査対象:合計6196名(20歳以上の男女)
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査 (オリコン顧客満足度調べ)
プロフィール
アップルオートネットワーク株式会社 代表取締役社長 長塚秀明
1997年ジャックホールディングス株式会社へ新卒入社。販売部門にて、当時では珍しかった在庫台数500台規模の大型展示場の立ち上げに参加。その後、流通相場を決定するプライシング部門を経て、2004年6月にアップルオートネットワーク株式会社入社。ITソリューション部にてWEBマーケティングの責任者を担当し、2010年より取締役に就任。2017年3月より現職。