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映画館で約5割がフードを注文、家族連れはより顕著 〜「映画館」利用実態調査

 日本映画製作者連盟によると、2019年の年間興行収入は過去最高の2611億8000万円(前年度比117.4%)。そんな近年の日本映画活況の背景には、時代とともに様変わりする映画館の存在、そして人々の「映画の楽しみ方」の変化が少なからず影響しているのではないだろうか?

 顧客満足度調査を行うオリコンでは、「映画館の利用動向」についてアンケートを実施。過去1年以内に映画館で映画、またはODS(ライブ・スポーツ中継・演劇など、映画以外のコンテンツを映画館で上映すること)を1回以上鑑賞した男女6955名から得た回答の中から、気になる顧客行動についてまとめた。

1.選ばれる映画館、ポイントは「上映作品の充実さ」「立地・アクセスの良さ」「チケット購入のしやすさ」

 映画館を選定する際(利用前)に重要視したポイントを調べると、「上映作品の充実さ」が最も高く、次いで、「立地・アクセスの良さ」「チケット購入のしやすさ」「上映回数の多さ」「座席の座り心地の良さ」が続く(下図)。オリコン顧客満足度調査では、6月1日に全国7地域別の「映画館」ランキング(リンクを設置)を発表したが、各エリアで1位を獲得した映画館はすべてシネコンであり、その豊富なスクリーン数から「上映作品の充実さ」の要望を満たしている。「立地・アクセスの良さ」において、北海道・東北エリア1位の札幌シネマフロンティア、近畿エリア1位の大阪ステーションシティシネマの2館は、駅直結のシネコンであり、「立地・アクセス」の評価が高い。また、年代別に見ると年代が高くなるほどに「座席の座り心地の良さ」への欲求が高くなり、設備の充実さも重要であることがうかがえる 。

重視点上位5項目と年代別

2.ネットからのチケット購入がコロナ禍のサービスのカギに?

 前述の重視点でもTOP3の中に挙げられた「チケット購入のしやすさ」について、その手段を調べると4割以上の人が「ネット購入」をしているという結果に(下図)。今回の調査時期は、2020年1月8日〜23日と新型肺炎の流行が起こる直前だった。今後、対面での接客リスクを鑑みると、さらにネット購入の需要が増えることが予想され、それは顧客の満足度の評価に影響する可能性も考えられる。

チケットの購入方法

3.映画館内の飲食店の利用は約5割 カップルはグッズを買わない?

 映画館内に併設されたショップの利用状況では、約5割の人が「館内の飲食店に行きドリンクやフードを注文」しており、映画館の顧客単価を上げるために重要な要素であることがわかる。利用者別に見ると、「ファミリー」では、ドリンクやフードを注文した人が、全体に比べ10pt以上高い。子どもと映画に行った際などにポップコーンやドリンク類を買う傾向はより強いと思われる。1人で映画を観に行く際に買うことは少ないが、子どもと行くときには、財布の紐が緩む傾向にあるのかもしれない。ちなみに、カップルは全体に比べ「映画館内のグッズ販売店に行って、商品を購入した」が8pt低く、「グッズ」にまで目が行かない傾向があるように映る。

併設されたショップの利用状況と利用者別

4.視聴ジャンルは「アニメ」がトップ 50・60代は「SF」

 視聴ジャンルの問いでは、「アニメ」が最も高く、次いで「SF」「アクション」「コメディ」「ファンタジー」の順であった。年代別に見ると、「アニメ」は50・60代以上になると視聴数が低くなり、代わりに最も視聴数が多かったのは「SF」。世代間で視聴ジャンルの嗜好性が変移しているように見受けられる。一方、10代特有の傾向は、「恋愛(ラブロマンス)」が高い点である。思春期真っ盛りの年代にとって、恋愛は非常に重要な要素であり、視聴するジャンルにも影響していることがうかがえる 。

視聴ジャンル上位6項目と年代別

【調査概要】
●期間:2020年1月8日〜1月23日
●地域:全国
●方法:インターネット調査
●回答者:過去1年以内に、映画館で映画またはODSを1回以上鑑賞した(無料で鑑賞した人は除く)15歳以上の男女6955名

<回答者属性>
[男女比]男性:40.3%、女性:59.7%
[年代比]10・20代:23.5%、30代:14.8%、40代:24.0%、50代:21.1%、60代:16.7%

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