スマホ決済サービス、1回あたりの平均支払い額は「1000円未満」が約5割 〜オリコン顧客満足度調査

スマホ決済をする人

 近年、右肩上がりで推移しているキャッシュレス決済市場。なかでも台頭しているのが、QRコード(※デンソーウェーブの登録商標)決済をはじめとした「スマートフォン決済」だ。政府主導のポイント還元事業の推進や、コロナ対策の一環としてシステムを導入する店舗も見られるなか、人々の買い物事情はどのように変化しているのだろうか? 顧客満足度ランキングを発表するoricon MEは、今年初めて「スマホ決済サービス」の調査を実施(ランキングは9月1日に発表)。その調査から得た、利用実態についての結果を10月28日、公表した。

 調査は2020年6月5日〜11日の期間、1ヶ月に1回以上スマホ決済サービスを利用すると答えた4402名(年齢は18〜84歳)を対象に行ったもの。

サービス利用を後押ししたポイントは、「お得感」と「利便性」

 まず、「スマホ決済サービスを使い始めた理由」から見ていくと(複数回答)、3割以上と最も多く票を集めたのは【ポイントがたくさん貯まるから】(32.2%)。そのほか、【普段利用しているサービスとポイントが連動しているから】(29.1%)、【キャンペーンを知って興味を持ったから】(27.5%)、【キャッシュレス・ポイント還元が魅力的だと思ったから】(26.7%)の項目がそれぞれ2割強となっており、利用開始にあたって「お得感」が大きな決め手となった様子が見て取れる。

 なお、【ポイントがたくさん貯まるから】と回答した人のうち、10・20代が40.8%に対し、60代以上は27.8%と、その差は13%あり、若年層ほどポイントを有効活用するためにサービスを始める傾向が高いことがうかがえた。

 また、合わせて【支払いの際に現金を出すのが面倒だから】(29.9%)、【支払いのスピードが早くなるから】(27.9%)など、会計をスムーズに済ませたいために使い始めたという声も2割強あった。なおこの調査は、緊急事態宣言解除から間もなくして行われたものだが、【新型コロナウイルス感染の影響で、現金を使わないようにしているから】と回答した人は1.8%で、感染予防を目的に決済方法を見直した人は少なかったようだ。

スマホ決済サービスを使い始めた理由(複数回答)

スマホ決済サービスを使い始めた理由(複数回答)

セキュリティ対策など、情報管理の安全性については不安の声も

 有益なサービスであることは理解しながらも、実際に使い始める前には不安もあったようだ。「サービスを利用する前の不安」の設問(複数回答)では、【個人情報や口座、クレジットカード番号等のセキュリティ対策】(33.3%)、【不正利用されないか】(25.5%)と、情報管理の安全性にまつわる不安が上位を占める結果となった。

 先月9月、スマホ等の電子決済サービスと連携した銀行口座から預貯金が不正に引き出される事件が多発し世間を震撼させたばかりだが、消費者の意識調査からもわかるように、セキュリティ対策の徹底は各事業者にとって永遠のテーマと言えるかもしれない。

サービスを利用する前の不安、上位5項目の年代別結果(複数回答)

サービスを利用する前の不安、上位5項目の年代別結果(複数回答)

“サブ財布”として利用? 「利用頻度」「1回あたりの支払い額」は少ない傾向に

  • サービスの利用頻度(単一回答)

    サービスの利用頻度(単一回答)

「サービスの利用頻度」に関する設問(単一回答)では、最も多かったのが【週に2〜3日程度】(29.2%)。次に【週に1日程度】(24.0%)が続き、これらを合わせると「週に3日以下」の利用者が53.2%と過半数を占める結果となった。

【ほぼ毎日】(9.3%)と答えた人は10人に1人程度。【2〜3週間に1日程度】(14.7%)、【1ヶ月に1日程度】(10.3%)という人もそれぞれ1割以上いることから、徐々にサービスが浸透してきているとはいえ、決済時に必ず利用するという人はまだ少数のよう。“サブ財布”的な立ち位置でケースによって使い分けている様子がうかがえた。

 なお、「1回あたりの平均支払い利用金額」の問い(単一回答)では、【500円〜600円未満】(22.6%)、【1000円〜1500円未満】(22.0%)がそれぞれ2割以上と、項目の中で突出する結果に。ある程度、項目(金額)をくくって見ていくと、1000円未満が49.5%と約半数を占めており、先出の利用頻度のデータも踏まえて考えると、コンビニなどでの買い物やランチ代など、ちょっとした支払いをする際にスマホ決済サービスを利用している消費者の姿が想像できる。

1回あたりの平均支払い利用金額(単一回答)

1回あたりの平均支払い利用金額(単一回答)

【2020年 オリコン顧客満足度(R)調査 「スマホ決済サービス」利用実態調査 概要】

●回答者数:4402名
(10・20代:390名、30代:660名、40代:1207名、50代:1339名、60代以上:806名)
●調査期間:2020年6月5日〜11日
●調査対象者:1ヶ月に1回以上、スマホ決済サービスを利用した人
(性別:指定なし、年齢:18〜84歳、地域:全国)