新卒エージェント満足度、「キャリアチケット」が初首位 需要高まる市場で今後のサービス向上のカギは?

「マイナビ」全7項目のうち6項目で1位、デバイス別ランキングでは3部門制覇

「新卒採用サイト」で3年連続総合1位を獲得した【マイナビ】は、1973年創業の老舗であり、進学、就職、転職、情報の提供のほか、インターンシップや人材派遣、人材紹介などを手がける大手人材広告企業が運営。総合2位の【リクナビ】(70.84点)と並び、圧倒的な知名度とシェアを誇る最大手の就職情報サイトの1つだ。

 全7つの評価項目のうち6項目で1位を獲得した【マイナビ】は、「登録のしやすさ」(73.56点)で全項目のうち最高得点を獲得。そのユーザビリティから掲載内容や情報量まで、文句なしの支持を得ていることをうかがわせた。なお、部門別のデバイス別(「PC」「スマートフォン」「アプリ」)では全ランキングを制覇。とくに「アプリ」で高い評価(73.86点)を得ている。

新卒採用サイト「評価項目別」ランキング

新卒採用サイト「デバイス別」ランキング

 総合2位の【リクナビ】は、評価項目「掲載情報」「検索機能」「管理機能」「特集・記事」「デザイン」の5つで2位にランクイン。昨年の「内定辞退率」予測データ販売のニュースによる企業イメージの低下は避けられないところだが、サイトにおけるそれぞれの機能や仕様は変わらぬ高い評価を受けている。また、総合3位の【ダイヤモンド就活ナビ】(70.09点)は、評価項目「イベント」で1位(73.37点)を獲得。利用者からは説明会やセミナーの充実ぶりが挙げられているように、他社に抜きん出た特徴的な強みと言えるだろう。

 サイトを選定する際(利用前)に重要視した項目について、昨年と比較してみると(割合の高い)上位3つの要素は「掲載情報」(30.88%)、「登録のしやすさ」(18.30%)、「検索機能」(12.74%)で変わらないが、「管理機能」が9.95%→10.75%へと比率が上昇している。こうした傾向からは、情報量はもとより、各サイトそれぞれが特徴を出しながらユーザビリティを向上させていくなかで、学生個々の志向にあったパーソナライズ化へのニーズが高まってきていることがうかがえる。情報過多とも言える時代において、その整理や管理、自分なりの最適化といった機能はこの先、より重視されていきそうだ。

新卒採用サイト 利用者が重視した項目

コロナを経て混迷の時代に突入、サービスの品質向上に求められるのは先見の明?

 新卒採用シーンを見ると、ここ数年で新卒就活戦線が変革期を迎えているうえに、今年の新型コロナウイルス感染拡大の影響によって新卒採用を中止する大手企業も出てきている。そのほか、採用人員の減少や採用選考の短期化、完全オンライン化なども予想され、新卒就活は変化の時代に入りつつある。一方、学生だけではなく、企業側にとってもこれまでの採用ノウハウ、採用活動に変革を迫られる新たな時代に突入することとなるだろう。

 そうしたなか、売り手市場と言われている状況の変化や一部学生への内定の集中といった格差問題の顕著化が進むことも予想され、新卒エージェントや新卒採用サイトへのニーズがより高まっていくことは間違いない。とくに学生それぞれに寄り添って懇切丁寧に支援するエージェントの注目度は上昇し、就活アドバイザーへのニーズが高まるとともに、その相談のしやすさ、提案力がこれまで以上に重視されることとなるだろう。

 また、各サイトでは、そのネットワークからの独自の分析情報や先見性のある記事といった掲載情報が、より大きな価値を持っていきそうだ。新たな時代を迎えつつある今、従来とは異なるニーズをどう掘り起こしていくのか?、さらなる満足度の向上には、これまで以上に学生と企業の両方に寄り添って時代の先を読む力が求められそうだ。

(文/武井保之)