生まれ育ったふるさとやお気に入りの観光地、または災害に見舞われた地域など、自分の意思で応援したい自治体を選び納税することができる制度「ふるさと納税」。近年では、甚大な自然災害が生じた被災地への寄付の増加傾向も見られていたが、今年はコロナ禍で苦境に立たされる事業者も多くなっていることから、従来のような地域振興だけでなく、被災地支援やコロナ支援といった側面も加わり、改めて制度への注目が集まっている。
そうしたなか、顧客満足度調査を行うoricon MEでは、昨年に続いて2回目となる“満足度の高い”「ふるさと納税サイト」ランキングを発表。2020年 ふるさと納税サイト 満足度総合1位には、全日本空輸が運営する【ANAのふるさと納税】が選ばれた。マイル付与連携が他サービスとは異なる特徴の1つである同サイトだが、6つの評価項目別ランキング中、5項目で1位にランクイン。「どうせ納税するなら、社会に貢献して返礼でも得をしたい」というユーザーの声が高まるなか、どういったポイントが満足度で高い評価を得ているのか。ランキング結果から見ていく。
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調査期間は、2020年4月13日〜4月20日。2019年にふるさと納税サイトを利用して各自治体に寄付をし、返礼品を申し込んだことのある全国18歳以上の男女2113人から、利用満足度について回答を得たもの。対象サイトは、複数の自治体の返礼品を検索でき、サイトから寄付の申し込みができる16社のふるさと納税サイト。ランキングを構成する評価項目は6つ(「サイトの使いやすさ」「手続きのしやすさ」「キャンペーンの充実さ」「返礼品の魅力」「コンテンツの充実さ」「地域振興への貢献」)あり、これらは全20の設問から成り立っている。
2020年 ふるさと納税サイトランキング 満足度総合TOP5
順位 |
サービス名/(得点) |
1位 |
ANAのふるさと納税 (74.44点) |
2位 |
ふるさとチョイス (74.09点) |
3位 |
さとふる (73.58点) |
4位 |
楽天ふるさと納税 (72.81点) |
5位 |
ふるなび (72.55点) |
新制度導入で昨年は受入額(寄付額)減少、見直されつつある「ふるさと納税」の意義
ふるさと納税とは、「生まれ育ったふるさとに貢献できる」「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる」納税制度。支援したい自治体を選んで納税すると、自己負担額(2000円)を除いて同年の所得税と翌年度分の住民税から納税額が控除され(※特例制度適用時は異なる)、各自治体は納税者に対してそれぞれが定める返礼品を贈るというもの。
2008年度にスタート後、受入件数は伸張を続けており、とくに190万件を超えた2014年度以降は大きく数字を伸ばしている(2019年度は2333.6万件)。一方、受入額(寄付額)は、受入件数とほぼ同じ推移となりながら、2019年度は4875.4億円と2012年度以来、7年ぶりの前年度比マイナスとなった(総務省「令和2年度ふるさと納税に関する現況調査について」より)。
ふるさと納税の受入額及び受入件数(全国計)
(出典:総務省「令和2年度ふるさと納税に関する現況調査について」)
※ 受入額及び受入件数については、法人からの寄附金を除外し、ふるさと納税として認められる寄附金のみ計上
※ 平成23年東北地方太平洋沖地震に係る義援金等については、含まれないものもある
この受入額減の背景には、返礼品による自治体間の受入競争が加熱している状況を受け、総務省が2019年6月1日より新制度を導入したことがある。これにより、(1)返礼品を寄付額の3割以下にとどめる、(2)返礼品は地場産品に限る、というルールが設けられ、これに沿った自治体のみが制度の対象に指定されることとなり、過剰な返礼品競争の抑止力となった。
この新制度導入もあり、現在ではもともとの地域振興というふるさと納税の意義や役割が見直されつつある。それは、地域振興に加えて、近年増加傾向にある自然災害による被災地への支援としての制度活用が増えてきているからだ。さらに今年度(2020年度)は、災害に加えて、コロナという未曾有の危機に社会が襲われるなか、厳しい環境にあるふるさとや馴染みのある地域、苦境に立たされる地方の事業者を支援したいという声も多く、改めてふるさと納税による支援に注目が集まっている。