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職場で“今できる”メンタルヘルス対策、4つの重要な方策とは【メンタルヘルスを守るセルフケア その2】

3.“全集中”で心を整える、「マインドフルネス」もストレス・コーピングの1つ

マインドフルネスを行う人

――メンタルヘルスについて正しく理解し、自分自身や、そのストレスについても把握する。そのうえで、フラットに話を聞いてくれる相談相手を持っておくこと自体が予防になるわけですね。ほかに、個人的にすぐに実践できそうな予防対策のようなものはあるのでしょうか。
石井 たとえば、「マインドフルネス」という言葉をご存じですか。

――聞いたことはあります。えっと、呼吸でこう全集中するような、『鬼滅の刃』みたいな感じのアレですよね?
石井 うーん、「いま、ここ」に集中するという点では同じかも、でもちょっと無理やりな感じが(苦笑)。基本的に、マインドフルネスは瞑想法の1つ。「調身、調息、調心」という禅の教えで、いきなり心を整えるのは難しいけど、まず身体(姿勢)を整えて、呼吸を整えれば、心も整う、という考え方です。

 仏教の坐禅のように、無になることが目標なのではなく、静かに呼吸そのものに意識を向けることで、過去や未来にとらわれず、今この瞬間に集中できるようになる。現代人は考えすぎ、スマホやPCに依存しすぎということもあり、脳は常に活動し続け、疲弊しています。

 肺という唯一、自分の意識で制御できる器官を使って、脳に酸素を効率よく送り込み疲れた脳を活性化させる、その結果、頭がすっきりして集中力が高まる、思考がシャープになる、気持ちが前向きになる、平常心が保ちやすくなる、身体が軽くなる、人間関係も良くなる、などなどその効果は科学的にも証明されているんですよ。発端はグーグルですが、いまや多くの企業にも取り入れられています。

――正直、何やら難しそうです。
石井 それが全然難しくないんですよ。いつでもどこでも身体ひとつで誰でも簡単にできるトレーニング・メソッドです。映像や関連書籍などもたくさん出ていますから、もし興味があったら一度トライしてみてください。実際にやってみると、とても簡単ですし、ただリラックスするだけでなく、繰り返しやり続けることで、さきほどお伝えしたような効果も感じられるようになると思いますよ。

――今この瞬間に集中するといえば、キャベツの千切りとかプラモデルの彩色とか、そういう時間はとくに何も考えておらず、でも集中できている状態のような。
石井 なるほど、マインドフルネスはそんな状態を姿勢と呼吸で意識的に作り出している、と言えるのかもしれませんね。慣れてくると電車の中でもできますし、ストレスが軽減し、心がリセットされる感覚がある。新型コロナウイルスの影響で、人との交流が制限され、漠然とした不安がつきまとう今だからこそ、1つのストレス・コーピング手法として、おすすめです。

【連載|今こそ知りたい「メンタルヘルス・ケア」の効能】
>#1|メンタルヘルスはなぜ大事? 心の不調を見抜くポイントと“コロナうつ”への対処法
>#2|ストレスと賢く付き合おう!心がけておくべきポイントを解説【メンタルヘルスを守るセルフケア その1】
【今ココ→】#3|職場で“今できる”メンタルヘルス対策、4つの重要な方策とは【メンタルヘルスを守るセルフケア その2】

【今回のチェックシート】あなたの会社ではどうですか?「職場のメンタルヘルス対策」セルフチェック

当てはまるものが多いほど、メンタルヘルスケアに関する仕組みがより整備されている状態です。現状を把握するための目安としてご活用ください。(注)※は、常時働く従業員の人数の法令義務規定があります
(厚生労働省「メンタルヘルス指針」、(独)労働者健康安全機構の資料などより、編集部で作成)

□ 「心の健康づくり計画」やメンタルヘルスケア計画が策定され、周知されている

□ ストレスチェック制度が導入されている 

□ 産業医、保健師など産業保健スタッフか?設定されている 

□ メンタルヘルス推進担当者が設定されている

□ 定期的に開催される「衛生委員会」がある 

□ メンタルヘルスケアの教育研修が定期的に実施されている

□ 上長向けに相談対応や話の聞き方などの研修が実施されている

□ ストレスチェックの集団分析結果から職場環境の改善が随時実施されている  

□ 職場環境の改善で総合健康リスク低減を実現すると表彰する仕組みがある 

□ 心の健康についての相談窓口がある

□ 外部に契約している専門クリニックなどがある

□ メンタルヘルスケア体制についてパンフレットや社内報などで周知されている

□ 健康情報を含む個人情報の保護はしっかりしている

□ 心の健康を理由に一方的な解雇や降格などが行われていない

□ 休業からスムーズに復職できる職場復帰支援フ?ランが作成されている

□ 正式な職場復帰の前に「試し出勤制度」がある

□ メンタルヘルス改善意識調査票(MIRROR)を定期的に使っている

□ メンタルヘルス風土尺度WINを定期的に使っている

□ ハラスメントを含む職場の人間関係についての相談窓口がある

□ 労働時間や仕事の質と量についての相談窓口がある

□ 従業員の家族からのメンタルヘルス相談にも対応している

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