おそうじ革命、人気の背景に「企業文化」の統一アリ　“非効率”覚悟のFC制度が叶える最良サービス／KIREI produce・福井智明社長インタビュー【後編】

　内容を凝縮しながらも福井氏が譲れなかった研修の1つが、FC展開するハウスクリーニング事業者としてはおそらく唯一であろう、OJT制度（実際の現場で、先輩社員が実業務を通して指導を行う教育訓練）である。

「他社さんと同じように技術を指導する研修所もありますが（埼玉・川口と東京・文京区）、いつもお掃除をしているので当たり前なことに研修所は大体キレイなんですね。そこだけで研修していては、開業して初めてお客さまのところの“リアルな汚れ”を目の当たりにしたときに戸惑ってしまう。そこで、研修期間にはベテラン作業員も帯同し、お客さまにもご理解いただいた上で現場を経験する機会を必ず設けています。何よりも、お客さまからの『ありがとう』を直接受け取る経験をしてもらいたいんです。そのことに無上の喜びを感じられる方であれば、きっとハウスクリーニングには向いているはずです」（福井氏）

　FC希望者への提供としては、決して効率的とは言えないOJT制度。また、前述の開業後の勉強会や指導会も非効率的だと言える。それでも福井氏がこだわり続ける理由、そこにこそ「おそうじ革命品質」の根本があった。

「技術はもちろん、洗剤や道具といったハード面は他社さんでも模倣ができます。しかし、『企業文化』だけは決して模倣できません。どれだけガッチリと研修をしても、開業してしばらく経てば『洗濯機の中のカビ1つ残さないぞ！』『床に髪の毛1本残すものか！』など、そこまでの強い意識を持ち続けるのはなかなか難しいことです。だからこそ、常に『品質、品質！』と忍耐強く訴え続けること。それが“おそうじオタク”であり、創業者である僕の役割だと思っています」（福井氏）

　非効率を恐れないことで品質を保つ一方、ITも積極的に導入。「現場作業以外はオール自動化」を標榜し、FC加盟店には、スマホ1台でも顧客獲得から現場管理、売上管理などができるシステムを提供している。また、全加盟店がつながるチャットシステムもあり、技術の問い合わせや現場の応援要請などもスムーズに行われている。

「効率化によって余った時間はすべて、お客さまを喜ばせるために使ってもらいたい。ITの導入はお掃除だけに集中するためのものなんです」（福井氏）

「日本中をキレイにしたい」という思いから始まり、急成長を遂げてきたおそうじ革命。その企業理念は、今や「世界中をKIREIに」となり、2022年までには海外展開も視野に入れている。すでにタイでの事業にも着手しているとのことだ。

「『キレイ』という日本語には、英語のCleanをはじめ、世界のどこの国にもない奥深いニュアンスが詰まっています。日本のKIREIを通じて、世界中の人々の生活をより豊かにしたい。そして、KIREIを世界語にしたいというのが僕の夢なんです」（福井氏）

　このたびのコロナ禍で、日本の清潔意識の高さは、世界に広く知られるところとなった。もちろん国内でも除菌サービスをはじめ、ハウスクリーニング需要はますます高まっていくことだろう。業界内競争もさらなる激化が予想されるが、福井氏は「業界が切磋琢磨することで全体のサービスが向上するのは、僕も歓迎したいところです」と大きな危機感は抱いていない様子だった。それも現場出身、そして“おそうじオタク”としての矜持からだろうか。「現場を知らない創業者には負けたくない気持ちはありますね」と、福井氏はハニカミながらも胸を張る。

【インタビュー前編】
＞清掃業者を「憧れのヒーロー」に、“おそうじオタク”視点から生まれた品質向上改革

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