住宅ローン満足度、「ソニー銀行」が10年連続の総合首位 高い満足度を維持する理由とは?

 コロナ禍により、在宅ワークなど“新たな生活様式”を誰もが試行錯誤しながら実践し始めるなか、それまでの生活とのもっとも大きな変化は、自宅にいる時間が長くなっていることだ。家で趣味を楽しんだり、家族と一緒に長く過ごすようになったりしたことで、住環境に対する価値観も以前とは異なってきた。それがリフォームや、地方移住などに伴う住宅購入に関心を寄せる人の増加へとつながってもいる。実際、建築デザイン会社やハウスメーカーでは、在宅ワーク向けのデザインや商品を発売し始めるなど、市場の動きは顕著だ。

 そんななか、顧客満足度調査を行うoricon MEでは、住宅購入の元手の資金となる「住宅ローン」について調査を実施。その結果、【ソニー銀行】(72.32点)が10年連続となる満足度総合1位を獲得した。住宅とは多くのユーザーにとって一生で最も大きな買い物となるだけに、そのローン選びはとくに慎重に行わざるを得ない。そうしたなか、10年という長きにわたって総合1位をキープするソニー銀行は、どういったポイントが評価されているのか。ランキング結果から見ていく。

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 調査期間は、2020年3月16日〜25日。過去5年以内に住宅ローンの新規借り入れ、もしくは借り換えを行った人で、現在も融資(借入)を受けている1万7793人から、利用した住宅ローンの満足度について回答を得たもの(対象年齢は20歳以上)。対象企業は、住宅ローンの新規借り入れ、もしくは借り換えを希望する個人に対して、自社商品を提供する銀行またはモーゲージバンク123社(信用金庫、信用組合、労働金庫、JAバンクは除く)。

 ランキングを構成する評価項目は9つ(「商品内容」「担当者」「団体信用生命保険の充実さ」「付帯サービス」「手続き」「金利」「手数料・保証料」「繰り上げ返済」「サイトのわかりやすさ」)あり、これらは全25の設問から成り立っている。集計結果は「総合」「評価項目別」のほか、「地域別」「目的別」「業態別」「商品別」と部門別でのランキングを発表している。

2020年 オリコン顧客満足度 住宅ローンランキング

満足度総合 TOP10

順位

企業名/(得点)

1位

ソニー銀行 (72.32点)

2位

イオン銀行 (71.58点)

3位

auじぶん銀行 (70.76点)

4位

住信SBIネット銀行 (70.67点)

5位

新生銀行 (70.44点)

6位

楽天銀行 (69.74点)

7位

青森銀行 (69.50点)

8位

みずほ銀行 (69.41点)

9位

百五銀行 (69.28点)

10位

北陸銀行 (69.03点)

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評価項目別 TOP3

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地域別 TOP3

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ソニー銀行、「商品内容」「金利」を含む4項目で1位、担当者が分析する支持理由とは?

 10年にわたり同ランキングにおいて継続的に高評価を受けている【ソニー銀行】は、9つの評価項目のうち「商品内容」「金利」「繰り上げ返済」「サイトのわかりやすさ」の4項目で1位にランクインした。なかでも「商品内容」は、全項目における最高値となる75.58点を獲得した。

 住宅ローンにおいて重要な要素の1つとなる「金利」は73.60点。多岐にわたる豊富な商品ラインアップと、それぞれの内容の(ユーザーにとっての)実利の高さが、一大決心を必要とする住宅購入時の安心と信頼につながっていることを示している。

 さらに、インターネット銀行という特性上、ユーザーインターフェースとユーザビリティはサービスの入り口として評価の大きなポイントになってくるが、同社は「サイトのわかりやすさ」においても70.28点と70点台で1位を獲得。10年連続での満足度総合1位は、こうしたユーザーのツボをしっかりと押さえていることの積み重ねと言えるだろう。

 ソニー銀行・執行役員常務の南 啓二氏は、今回の結果を受けて、「足元では、コロナ禍にて外出自粛等も余儀なくされ、対応する社員の出社も難しい環境でしたが、ITを駆使しお客さまとの接点にも配慮した取組も行っています。さらに10年前には考えられなかったAI審査、電子契約等を駆使し、スピードと丁寧な顧客対応の両立を目指してまいりました。その成果が評価されたのだと思っています」とその要因を分析している。

 顧客第一主義は同社に限ったことではないが、テクノロジー活用とスピードは1つのキーワードといえるだろう。そんな姿勢が同社の魅力となり、利用者からも支持されていることをうかがうことができる。

 続いて、満足度総合2位にランクインしたのは【イオン銀行】(71.58点)。評価項目別では、「付帯サービス」(70.61点)、「手続き」(73.70点)の2つで1位を獲得している。全国にショッピングモールを展開するイオングループの一員であり、買い物を中心にしたユーザーの日常生活に密着した金融機関としての強みを活かした上記の2項目は、同社がもっとも得意とする分野だろう。

 ユーザーからは「窓口の開設時間が長く、仕事が終わってからでも手続きに行けた。買い物に関する特典があった。もともと口座を持っていたので、手続きがスムーズだった」(40代女性)「ショッピングセンター内にある窓口のため、土日の手続きが可能だった。イオンカードの割引も受けられる」(40代男性)といった声が多く寄せられている。

今回から大項目化、コロナ禍によって注目度がより高まりそうな「団体信用生命保険」

 今年のランキングで昨年と異なるのは、評価項目に「団体信用生命保険の充実さ」が新設されたこと。サービス競争が激化し、各社金利がほぼ同じ割合となってきているなか、差別化に力を入れているのが「団体信用生命保険」。住宅ローンの返済中に不測の事態など万一のことがあった場合に、保険金によりローン残額が弁済される保障制度のことで、今回より同評価を1つの大項目として切り出してランキング化。その結果、この項目では満足度総合4位の【住信SBIネット銀行】が1位(73.59点)を獲得した。

 今まさに新型コロナウイルスの影響によって、健康や日常生活のあり方、将来設計への不安が高まっており、本項目はこれからより注目度が高まっていくことだろう。住宅ローンを選定する際(利用前)に重要視した項目を構成比が高い順に並べると、「商品内容」(24.10%)、「金利」(23.42%)に次ぎ、3番目に「団体信用生命保険の充実さ」(12.71%)が登場する。

 次回の調査では、より重視度が高くなることも予想されるが、各社サービスにおけるその内容も精査されていき、より充実したサービスが登場してくることもあるだろう。住宅ローンの1つのカギとなる評価項目となっていきそうだ。

 なお、部門別の地域別ランキングでは、「北海道」では【北海道銀行】(68.32点)が5年連続の1位、「東北」では【青森銀行】(69.22点)が3年連続の1位、「甲信越・北陸」では【北陸銀行】(67.82点)が1位を獲得。地域共栄をかかげる、地元に密着したサービスの安心感と信頼性が評価されており、各地域に本店を置く地方銀行がそれぞれ強さを見せている。 (文/武井保之)

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