トップの理由

コロナ禍、住宅業界に訪れる苦境と好機 変容する消費意識へのアプローチ手法が今後のカギか/スウェーデンハウス・村井秀壽社長インタビュー【後編】

「オリコン顧客満足度調査」の各種ランキングで1位を獲得した企業のトップへのインタビュー企画【トップの理由】。今回は2回にわたって、2020年ハウスメーカー 注文住宅ランキングで6年連続1位を獲得した「スウェーデンハウス」代表取締役社長・村井秀壽氏にご登場いただく。前編では、顧客から高い満足度を獲得し続けることができる“秘訣”について。後編では、コロナ禍における住宅市場に対する考え、同社のアプローチ戦略などについて語ってもらった。

 新型コロナウイルスの感染拡大が経済秩序を大きく揺るがすなか、住宅市場もまた打撃を受けている。住宅市場調査を行うTSON(ティーソン)によると、全国的に緊急事態宣言が発令された4月の住宅着工総数は、三大都市のうち東京、大阪で前年同月比・前月比ともに減少。人口減少や少子高齢化などにより、新規住宅着工数が減少傾向にあるなかで、今回のコロナショックにより、先行きに不透明感が増している。だが、その一方で、リモートワークなど“新たな生活様式”の実践により、自宅で趣味を楽しんだり、家族と一緒に過ごす時間が長くなったりしたことから、住環境に対して以前とは異なる価値観を持つ人も出てきているようだ。35年以上にわたり北欧由来の住宅を提供する輸入住宅メーカー・スウェーデンハウスの代表取締役社長・村井秀壽氏は言う。

1.コロナ禍、20〜30代の子育て世代が戸建て住宅への関心を高める

スウェーデンハウス・代表取締役社長の村井秀壽氏

スウェーデンハウス・代表取締役社長の村井秀壽氏

「弊社のデータでは、コロナ禍を受け、特に子どもが生まれたばかりの20〜30代の世代で、戸建ての家を持ちたいというお客さまが増えています。外出自粛や在宅勤務を経験した今、家で過ごす時間や住宅への憧れ・こだわりを強める人は少なからず増加しており、住み心地の良い戸建て住宅の存在が見直されつつあるタイミングなのではないかと感じています」(村井氏)

 総務省が発表した4月の家計調査によると、2人以上の世帯における実質消費支出は、前年同月比で11.1%と大幅に減少。未だ世界的に新型コロナウイルス感染症の終息が見込めず、給料やボーナスの減額を余儀なくされる企業も見られていることから、消費者の買い控えは当面続くかもしれない。しかし、未知なるウイルスの恐怖を経験し、新しい生活様式が求められるなかで変化した消費者の意識は、住宅業界にとって好機も含んでいるということだ。

 現状、コロナ禍による同社の業績への影響は軽微だが、住宅展示場への来場者数が3月は前年比30%減、4月においては70〜90%減 とコロナ拡大に伴うインパクトは大きい。強い逆風が吹くなか、消費者の潜在的欲求に応えていくべく、同社では積極的なアプローチを始めている。

2.若い世代に向けたアピールは、Web戦略の多様化が要

写真は、ABCハウジング八王子住宅公園 八王子モデルハウス

写真は、ABCハウジング八王子住宅公園 八王子モデルハウス

 その1つが、若い世代に向けての新たな取り組み。同社の大きな特性と言えば、世代を超えて100年以上住み継げることが当たり前のスウェーデンの住宅思想を基本としている点。戦後の日本の木造住宅のように、25〜30年と短命ではなく、住めば住むほど味が出るとともに、傷みや不具合が生じても部分的に修復することができる。もちろん、20年、30年後など、ライフステージの変化によっての増築も可能だ。これまでは、自由設計による注文住宅をメインにしてきたが、今後は若い世代の手に届きやすいよう、規格住宅の充実にもより一層気を配りながら、「資産としての家づくりができる、そういった部分も積極的にアピールしていきたい」と、村井氏は意気込む。

  • 写真は、ABCハウジング八王子住宅公園 八王子モデルハウス

    写真は、ABCハウジング八王子住宅公園 八王子モデルハウス

  • 写真は、ABCハウジング八王子住宅公園 八王子モデルハウス

    写真は、ABCハウジング八王子住宅公園 八王子モデルハウス

  • 2020年4月8日にリリースされた、スウェーデンハウス公式アプリ「ムースくん」のトップ画面

    2020年4月8日にリリースされた、スウェーデンハウス公式アプリ「ムースくん」のトップ画面

 若い世代により広く伝えていくための手法として、注力しているというのが「Webの活用」だ。「正直なところ、市場における弊社の知名度はまだまだ低いと思っています。そこで、特に若い世代に知っていただけるよう、ホームページを刷新したところ、閲覧者数が2.5倍になり、資料請求も増加しました。ただ、そこから成約率を上げるためにはどうするかが重要です。オンライン相談会やモデルハウスの3Dウォークスルー動画配信に加え、現在は、AIキャラクターが接客するバーチャル展示場の開発も進めるなど、afterコロナの時代におけるWeb戦略の多様化にも力を注いでいきます」(村井氏)。宣伝・PRにおいては、「わかりやすさ」と「スピード感」が重要だと捉え、取り組みを行っているという。

スウェーデンハウスのホームページには、モデルハウスが“3D画像”で見られる「3Dウォークスルー」サービスも(写真は、駒沢モデルハウス)

スウェーデンハウスのホームページには、モデルハウスが“3D画像”で見られる「3Dウォークスルー」サービスも(写真は、駒沢モデルハウス)

 スピードという面では、コロナによって変化が加速する生活様式へのアプローチも重要だ。業界ではここ最近、在宅勤務を最適化する“テレワーク型住宅プラン”を提案する動きが各所で見られるようになったが、同社でも変容する働き方、私生活のニーズに応える提案に前向きな姿勢を見せている。

「弊社では、かねてより『ファミリールーム』というスペースをご提案しています。来客をもてなすリビングとは異なる、家族だけの共有スペースです。ここでパソコンを使ったり、読書やお子さんの勉強など多目的にお使い頂けます。高い気密・断熱性能で家中どこでも快適なスウェーデンハウスは、遮音性能も高く、テレワークやオンライン学習などに集中できる室内環境が整っていますので、このファミリールームは、新たな生活様式での仕事や私生活のニーズに応えられるものだと思います。これらも強みの1つに、afterコロナの住まいにおいて新たな提案をしていけるのではないかと考えています」(村井氏)