「オリコン顧客満足度調査」の各種ランキングで1位を獲得した企業のトップへのインタビュー企画【トップの理由】。今回は2回にわたって、2020年 ハウスメーカー 注文住宅ランキングで6年連続1位を獲得した「スウェーデンハウス」代表取締役社長・村井秀壽氏にご登場いただく。前編では、顧客から高い満足度を獲得し続けることができる“秘訣”について。後編では、コロナ禍における住宅市場に対する考え、同社のアプローチ戦略などについて語ってもらった。
「『資産価値の持続する家づくり』を事業理念に、1984年の設立以来、37年間、ブレることなく、一貫して“北欧クオリティ”に裏打ちされた高品質の住まいをご提供し続けてきた姿勢が、この評価に結実したと考えております」。昨年、11月に逝去した前社長・岡田正人氏の意志を受け継ぎ、今年1月1日付でスウェーデンハウス・代表取締役社長に就任した村井秀壽氏は、オリコン顧客満足度調査 ハウスメーカー 注文住宅ランキングにおいて、同ランキング発表開始以来、6年間にわたって連続首位を獲得した理由をこう分析する。
1.孫の代まで100年受け継がれる、“包容感”あるスウェーデンの住宅
日本の住宅寿命が25〜30年と言われ、家は建て替えるのが当たり前の消費財と考えられていた時代に、「百年受け継ぐ家、高気密・高断熱、家族を守る強い家づくり」をコンセプトにスタートしたスウェーデンハウス。誕生のきっかけは、親会社のトーモクが、1972年に計画された北海道当別町のニュータウン開発において、「やがて訪れる高齢化社会にも対応する、新しい街づくりを行いたい」と考えたことだった。トーモクは、北海道で木材加工業を手がけていた関係から、第2次世界大戦終戦直後、戦災復興住宅事業に取り組み、住宅生産量全国2位にまで上り詰めた実績を持っていた。しかし、金融引き締め政策の影響により、2年後には住宅事業から撤退。以降、トーモクは段ボールを中心とした包装資材の製造販売においてトップメーカーの地位を確立してきたのだが、当別町の再開発計画をきっかけに1984年、住宅事業への夢を再燃させることとなった。
「段ボールも家も、大切なものを包むという意味では同じです。先代のなかには、“包む”をキーワードに、家族みんなを優しく包み込むような、人と環境に優しい住宅を提供したいという思いがあったと聞いています」(村井氏)
理想の住まいを実現するために、まず行ったのは、世界各国の住宅を視察すること。そして、心奪われたのが樹齢80年以上の木材を使用し、孫の代まで受け継がれていた北欧・スウェーデンの家だった。スウェーデンには、「1代目(親の代)で住宅、2代目(子の代)で別荘、3代目(孫の代)でヨットを買う」といった、住宅・暮らしに対する思想がある。これが意味するのは、スウェーデンの住宅は高性能で建て替える必要がないため、そのぶん豊かな生活を送ることができるということだ。
「木材の耐久性は樹齢に比例すると言われています。寒冷地で80年以上の年月をかけてゆっくり育った木材を使ったスウェーデンの家は、日本の住宅とは圧倒的に異なる強度と断熱性を備えていたんです。また、先進各国の視察を行っていた1970年代当時、聖路加看護大学(現・聖路加国際大学)学長だった日野原重明教授にもご同行いただいていたのですが、先生は、お風呂場やトイレ、玄関、廊下など、家の中がすべて同じ温度であるスウェーデンの家を、温度差によるヒートショックを起こす危険が少ないと高く評価されました。福祉先進国ならではの思想が随所に生かされている点も、このスウェーデン由来の家を、日本にぜひ届けたいと思った大きな要因でした」(村井氏)
2.日本初のサービスも多数、高品質だからこそ実現するサポート機能
その家造りには、機能性からデザインに至るまで、随所にこだわりがあるが、同社の“シンボル”とも言えるのが「木製サッシ3層ガラス窓」だ。2014年にグッドデザイン賞を受賞したこの窓は、樹脂の約1.4倍、アルミの約1700倍の断熱性能を持つ木の窓枠を使用。防火設備認定を受けているほか、外気の影響を受けにくく、カビやダニの原因になる結露の発生を抑制する。また、高い水密性、遮音性能や、ビルの23階に使用する窓と同等の耐風圧性能も備えている。
「実は私も2年前にスウェーデンハウスの家を建てたのですが、雨が降ってもほとんど気づかないくらい、外の雑音が気になりません。家全体が魔法瓶で包まれているような安心感と安らぎがあって、とにかく居心地が良いんです。スウェーデンは、日照時間の短い暗い冬の期間が長いので、家の中にずっといても楽しめる、居心地の良さを大切にしているのでしょう。そのような、高品質に加え、居心地の良さから生まれる安心感が、お客さまの満足度につながっているのではないかと思います」(村井氏)
高い品質へのこだわりは、1999年、日本の住宅メーカーに先駆けて、「全棟高性能保証表示システム CQ+24」をスタートさせたことにも表れている。1棟ごとに断熱性能を表すQ値を計算、気密性能を表すC値を実測。2013年からは、省エネルギー法改正の施行に先駆け、断熱性能を表すU値も計算し、各オーナーにその家の快適性能を数値でわかりやすく示しているのだ。
さらに、2000年には、日本で初めて、50年間という長期にわたって住まいをサポートする無料定期検診システム「HUS DOKTOR(ヒュース ドクトル)50」をスタート。これらのサービスは、家の性能に自信があるからこそできることだが、村井氏は「当時は(これら日本初となるサービスの導入について)業界でも驚かれたと聞いていますが、100年受け継がれる家という誇りを持っている弊社からしたら、50年なんてなんの心配もないことです」と笑い飛ばす。このように、高品質に対する揺るぎない自信をベースにした業界初の画期的な取り組みもまた、顧客の信頼、満足度の獲得につながっていると言えるだろう。
50年間無料定期検診システム「HUS DOKTOR 50」の展開イメージ