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徹底した「北欧クオリティ」が叶える、顧客の安心と満足/スウェーデンハウス・村井秀壽社長インタビュー【前編】

3.企業風土にも表れる北欧由来の“心地よさ”、社内外の良好な関係性が満足度向上につながる

スウェーデンハウス・代表取締役社長の村井秀壽氏

スウェーデンハウス・代表取締役社長の村井秀壽氏

 それはこんなエピソードからもわかる。スウェーデンハウスは、全国約70ヶ所にモデルハウスを設置し、宿泊体験も行っているのだが、その一方で、「自分の家を見せます」と申し出てくれるオーナーも多いのだそうだ。新築当初ならまだしも、10年、15年と年月を経た後も、「住めば住むほど味が出てきて、良い家になっているから見てほしい」と、自宅の見学会を申し出るオーナーがいるというのは、日本の住宅市場において、なかなかないことではないだろうか。

 このような高品質にこだわる企業風土は、「親会社のトーモクから受け継がれている」と村井氏は語る。村井氏は、今年1月の社長就任以前、40年にわたりトーモクで段ボールの製造販売に携わってきた。

「私は、住宅に関してはまったくの素人ですが(笑)、トーモクも、スウェーデンハウスも、そこに流れる企業風土は変わりません。たとえば、トーモクでは、2014年に150億円を投じて、最先端技術とシステムを結集した新工場を神戸に作りましたが、段ボールも家も一緒。高品質にこだわりながら、大切なものを包むに値する素晴らしい製品を提供したいというモノ作りに対する姿勢は、業界が違っても同じだと思っています。あと、東日本大震災の際に、トーモクは仙台の段ボール工場が大きな被害を受けました。しかし、グループで総力を挙げて復旧に取り組み、震災からわずか1ヶ月後には稼働を再開。私自身は、当時、大阪にいたのですが、グループ内の関連部門と連携して、すぐに被災地に救援物資を運びました。そういった部門を越えてのコミュニケーションや風通しの良さも、共通した企業風土だと思っていますので、現在、社員たちには部門の枠を越えた意見交換やコミュニケーションを積極的にしていくよう、話をしています。そういったコミュニケーションが活発化することによって、良質なサービスの提供や、社員たちの働きがいの向上にもつながっていくのではないかと思います」(村井氏)

 社員たちへの働きかけに関しては、もう1つ心がけていることがある。

「顧客満足度1位という栄誉を6年連続でいただけていることに慢心することなく、弊社が提供する家の強みはどういったところにあるのか?を、社員全員がスペックも含めてしっかりと把握できている状況を作ることはとても重要です。他社と“高品質の部分”で差別化を図れるブランディング戦略を行うことで、さらなる顧客満足、顧客体験の向上を目指していきたいと考えています」(村井氏)

(文・河上いつ子)

【インタビュー後編】
>コロナ禍、住宅業界に訪れる苦境と好機 変容する消費意識へのアプローチ手法が今後のカギか

>「トップの理由」インタビュー 一覧

プロフィール

村井秀壽(スウェーデンハウス株式会社 代表取締役社長)
むらい・ひでとし●1954年11月17日生まれ。1979年4月にスウェーデンハウスの同社親会社となる、総合包装材メーカー・トーモクに入社。1998年4月には清水工場長、2000年6月には執行役員 清水工場長に就任。その後、取締役 大阪工場長(2010年)などを経て、2018年6月に取締役 神戸工場長 関西営業部管掌に。2019年11月に前スウェーデンハウス社長の岡田正人氏が逝去したのに伴い、2020年1月1日付けでスウェーデンハウス代表取締役社長に就任した。スウェーデンハウスは、1984年創設。北欧・スウェーデンの住宅思想を基本とした住居は、「環境大臣表彰」(2004年)、「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリック2007大賞」(2008年)、「グッドデザイン賞」(2014年)を受賞。2015年からは、オリコン顧客満足度(R)調査 ハウスメーカー 注文住宅ランキングにおいて、同ランキング発表開始以来、6年連続で満足度総合1位を獲得している。

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