トップの理由

コロナ禍、住宅業界に訪れる苦境と好機 変容する消費意識へのアプローチ手法が今後のカギか/スウェーデンハウス・村井秀壽社長インタビュー【後編】

3.高齢化社会に備えた“街づくり”も、今後の住宅業界の課題と可能性に

 さらに、新たな時代を見据えてもう1つ同社が力を注いでいるのが、要介護者にも対応した高齢者向けサービス住宅やクリニック併用住宅など、高齢者や医療に配慮した住宅事業だ。今年11月には、第1号となる介護付き高齢者住宅が富山県に誕生する。

  • スウェーデンハウスが手がける、北海道当別町に位置する“ニュータウン”スウェーデンヒルズ

    スウェーデンハウスは“街づくり”も手がける。写真は、北海道当別町に位置するスウェーデンヒルズ

  • スウェーデンヒルズのモデルハウス

    スウェーデンヒルズのモデルハウス

「1984年の設立当初から、来たる高齢化社会に備えて、弊社は住宅と医療を結び付けた街づくりを考えてきました。これまで、一戸建ての注文住宅を主に手がけてきましたが、福祉先進国のスウェーデンの思想と優れた住宅性能を備えた弊社の機能は、高齢者施設やホスピスにも十分発揮できると自負しています。現在、各自治体がスマートシティの実現に取り組んでいますが、弊社も街づくりにおいて、高齢者や教育などとリンクしていくことを課題に、今後、取り組んでいけたらと考えています」(村井氏)

 内閣府が今年5月末〜6月初旬にかけて全国1万人に行った意識調査によると、テレワーク経験者の3人に2人は「仕事より生活を重視したい」と回答。さらに、東京23区に居住する20代の35.4%が「地方移住に関心が高くなった」と答えた。冒頭、コロナ禍によって、家を持ちたいという20〜30代の世代が増えていると村井氏は語っていたが、内閣府の調査結果はそれに加え、人々の関心が周辺の環境にもおよんでいることを表していると言えるだろう。消費型から持続型へ。afterコロナは、住まいにおいても、人や社会・環境に配慮したサスティナビリティが求められる時代になるのかもしれない。

(文・河上いつ子)

【インタビュー前編】
>徹底した「北欧クオリティ」が叶える、顧客の安心と満足

>「トップの理由」インタビュー 一覧

プロフィール

村井秀壽(スウェーデンハウス株式会社 代表取締役社長)
むらい・ひでとし●1954年11月17日生まれ。1979年4月にスウェーデンハウスの同社親会社となる、総合包装材メーカー・トーモクに入社。1998年4月には清水工場長、2000年6月には執行役員 清水工場長に就任。その後、取締役 大阪工場長(2010年)などを経て、2018年6月に取締役 神戸工場長 関西営業部管掌に。2019年11月に前スウェーデンハウス社長の岡田正人氏が逝去したのに伴い、2020年1月1日付けでスウェーデンハウス代表取締役社長に就任した。スウェーデンハウスは、1984年創設。北欧・スウェーデンの住宅思想を基本とした住居は、「環境大臣表彰」(2004年)、「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリック2007大賞」(2008年)、「グッドデザイン賞」(2014年)を受賞。2015年からは、オリコン顧客満足度(R)調査 ハウスメーカー 注文住宅ランキングにおいて、同ランキング発表開始以来、6年連続で満足度総合1位を獲得している。

  1. 前へ
  2. 1
  3. 2