新卒エージェント満足度、「キャリアチケット」が初首位 需要高まる市場で今後のサービス向上のカギは?

 就職戦線はここ数年、少子化の影響などによる売り手市場が続くなか、景況感の回復も相まって、新卒採用へのニーズが以前にも増して高まっていた。しかしその一方で、就職活動の早期化や、従来の経団連による“就活ルール”が2021年卒から廃止されることなどから、人生を左右する勝負に臨む学生にとっては期待とともに不安も大きくなっている。それに加え、新型コロナウイルスという未知の不安定要素が降りかかっており、力強いサポート役となる新卒採用サービス(エージェント/サイト)への需要はこれまで以上に高まりつつある。

 そうしたなか、顧客満足度調査を行うoricon MEでは、「新卒エージェント」と「新卒採用サイト」それぞれの調査を実施。その結果、「新卒エージェント」ランキングは、ITエンジニア特化型問題解決プラットフォームなどを提供するレバレジーズが運営する【キャリアチケット】(70.80点)が初の満足度総合1位に。「新卒採用サイト」ランキングでは、【マイナビ】(71.86点)が3年連続で総合1位を獲得した(調査はそれぞれ2018年からスタートし、今回で3回目)。Webを利用した就職活動がスタンダード化した今、学生たちはサービスを選ぶ際に何を重視し、評価しているのか。それぞれの満足度ポイントから探っていく。

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 新卒エージェントとは、学生と新卒採用を考えている顧客企業の懸け橋となる無料のエージェントサービスのこと。学生に対してはキャリアアドバイザーが個別に面談を行い、志向や適正に合った就業先を、顧客企業に対しては採用条件に合う人材を紹介する。一方、新卒採用サイトとは、新卒採用を考える企業の広告や就職活動に関する情報が掲載される、新卒向け就職情報サイトのこと。学生はサイト上で求人情報の検索をはじめ、個別企業へのエントリーシートの送付、就活イベントや説明会の参加申込みなどができる。

 調査について「新卒エージェント」は、2020年4月3日〜22日の期間、過去5年以内に新卒エージェントを利用して求人の紹介を受けたことのある、現在就職活動中の学生または卒業後3年以内の18〜29歳の男女3057人から回答を得たもの。「新卒採用サイト」は、2020年4月7日〜13日の期間、過去5年以内に新卒採用サイトを利用して掲載されている企業に応募したことのある、現在就職活動中の学生または卒業後3年以内の18〜29歳の男女3430人から回答を得た。

「新卒エージェント」「新卒採用サイト」ランキング 満足度総合 TOP5

17年開始の気鋭サービス「キャリアチケット」、全4つの評価項目で1位

「新卒エージェント」初首位の【キャリアチケット】は、学生と専属の就活アドバイザーの二人三脚による「量より質」の就活を掲げ、入社後のキャリア形成まで見据えた支援を行っている。大学生限定の無料コミュニティスペース・キャリアチケットカフェを運営し、大学生の低学年のうちから社会人と交流できる機会を提供していることも特徴だ。今回の調査では、4つの評価項目すべてで1位を獲得。なかでも、最初の利用の決め手となる「登録のしやすさ」では、全項目のうち最高値となる74.25点を獲得している。また、「アドバイザーの相談のしやすさ」では同項目で唯一の70点超えとなり、利用者から厚い信頼を得ていることがわかる。

新卒エージェント「評価項目別」ランキング

 運営するレバレジーズは、IT系エージェントとして実績を積み上げてきた企業。この分野で培ってきたノウハウやネットワークが活かされていることも学生たちにとっては心強く、他社との差別化につながっているようだ。新卒向け就職エージェントとしては2017年にスタートした比較的若いサービスながら、無料のカフェスペースを展開するなど、学生のニーズに細やかに応え、丁寧に寄り添う施策で急成長を遂げている。

 また、総合2位は【リクナビ就職エージェント】(67.59点)、3位は【マイナビ新卒紹介】(67.45点)という、大手2社による接戦に。評価項目別では、前者が「アドバイザーの相談のしやすさ」と「アドバイザーの提案力」で2位、後者が「登録のしやすさ」と「紹介企業」で2位にランクインと、ポジションを分け合っている。それぞれの強みが顕著に現れた結果となった。

「マイナビ」全7項目のうち6項目で1位、デバイス別ランキングでは3部門制覇

「新卒採用サイト」で3年連続総合1位を獲得した【マイナビ】は、1973年創業の老舗であり、進学、就職、転職、情報の提供のほか、インターンシップや人材派遣、人材紹介などを手がける大手人材広告企業が運営。総合2位の【リクナビ】(70.84点)と並び、圧倒的な知名度とシェアを誇る最大手の就職情報サイトの1つだ。全7つの評価項目のうち6項目で1位を獲得した【マイナビ】は、「登録のしやすさ」(73.56点)で全項目のうち最高得点を獲得。そのユーザビリティから掲載内容や情報量まで、文句なしの支持を得ていることをうかがわせた。なお、部門別のデバイス別(「PC」「スマートフォン」「アプリ」)では全ランキングを制覇。とくに「アプリ」で高い評価(73.86点)を得ている。

新卒採用サイト「評価項目別」ランキング

新卒採用サイト「デバイス別」ランキング

 総合2位の【リクナビ】は、評価項目「掲載情報」「検索機能」「管理機能」「特集・記事」「デザイン」の5つで2位にランクイン。昨年の「内定辞退率」予測データ販売のニュースによる企業イメージの低下は避けられないところだが、サイトにおけるそれぞれの機能や仕様は変わらぬ高い評価を受けている。また、総合3位の【ダイヤモンド就活ナビ】(70.09点)は、評価項目「イベント」で1位(73.37点)を獲得。利用者からは説明会やセミナーの充実ぶりが挙げられているように、他社に抜きん出た特徴的な強みと言えるだろう。

 サイトを選定する際(利用前)に重要視した項目について、昨年と比較してみると(割合の高い)上位3つの要素は「掲載情報」(30.88%)、「登録のしやすさ」(18.30%)、「検索機能」(12.74%)で変わらないが、「管理機能」が9.95%→10.75%へと比率が上昇している。こうした傾向からは、情報量はもとより、各サイトそれぞれが特徴を出しながらユーザビリティを向上させていくなかで、学生個々の志向にあったパーソナライズ化へのニーズが高まってきていることがうかがえる。情報過多とも言える時代において、その整理や管理、自分なりの最適化といった機能はこの先、より重視されていきそうだ。

新卒採用サイト 利用者が重視した項目

コロナを経て混迷の時代に突入、サービスの品質向上に求められるのは先見の明?

 新卒採用シーンを見ると、ここ数年で新卒就活戦線が変革期を迎えているうえに、今年の新型コロナウイルス感染拡大の影響によって新卒採用を中止する大手企業も出てきている。そのほか、採用人員の減少や採用選考の短期化、完全オンライン化なども予想され、新卒就活は変化の時代に入りつつある。一方、学生だけではなく、企業側にとってもこれまでの採用ノウハウ、採用活動に変革を迫られる新たな時代に突入することとなるだろう。

 そうしたなか、売り手市場と言われている状況の変化や一部学生への内定の集中といった格差問題の顕著化が進むことも予想され、新卒エージェントや新卒採用サイトへのニーズがより高まっていくことは間違いない。とくに学生それぞれに寄り添って懇切丁寧に支援するエージェントの注目度は上昇し、就活アドバイザーへのニーズが高まるとともに、その相談のしやすさ、提案力がこれまで以上に重視されることとなるだろう。また、各サイトでは、そのネットワークからの独自の分析情報や先見性のある記事といった掲載情報が、より大きな価値を持っていきそうだ。新たな時代を迎えつつある今、従来とは異なるニーズをどう掘り起こしていくのか?、さらなる満足度の向上には、これまで以上に学生と企業の両方に寄り添って時代の先を読む力が求められそうだ。

(文/武井保之)

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