特集

ライザップや幼児雑誌とのコラボ…仕掛け人が語る吉野家の「ファン作り」の流儀

「フラット」な関係・環境を作ることが向上への近道

創業121年を迎えた吉野家では、最近こんな商品も誕生! カロリー1700キロ超で、吉野家史上最大ボリュームの「スタミナ超特盛丼」

創業121年を迎えた吉野家では、最近こんな商品も誕生! カロリー1700キロ超で、吉野家史上最大ボリュームの「スタミナ超特盛丼」

 フラットな関係性で取り組んでいくことにより、成功体験を生む。フラットに向き合える環境を整えるためにも重要なのが、「横割り(横断型)の組織を作っていくこと」と田中氏は言う。とくに日本では、営業は営業、商品開発は商品開発というように「縦割り」でモノゴトを考えがち。現に吉野家も以前はそうだったが、この数年で改革が行われてきたという。

「マーケティングの部署だけでマーケティングに取り組んでも、最善の成果は出せないと思います。横割りでコミュニケーションをすることでアイデアが広がりますし、一体感だって生まれます。たとえば、商品開発の人が宣伝や広報活動について発案したって良いんです。私の場合は、商品開発や出店戦略、人事など、いろいろ口出しさせていただいています。はじめは『自分の縄張りには入ってほしくない』という警戒心もあるかもしれませんが、垣根なくフラットな環境でPDCAを回していくことで、どんどん良いものが生まれていきます」(田中氏)

コロナ禍こそ「原点」に立ち返ることが重要

 コロナ禍の今、私たちには「新たな日常生活」が求められているが、同時に顧客との接点作りやプロモーション方法など、企業側にもニューノーマルが求められている。緊急時はとくにキャパシティを超えるような考えや行動に陥りがちだが、こういう時こそ原点に立ち返ることが重要だと田中氏は言う。

「緊急時だからといって、企業の『人格』と異なる対応をしてしまっては元も子もありません。そのためにも、『誰に、どういう便益を提供するのか?』というように、原点を見つめ直すことが重要であり、企業の人格を明確にしたうえで、その範囲内でアプローチを行っていくことが大切です。それこそが企業にとっての『らしさ』であり、一貫したストーリー性があるからこそお客さまの支持につながっていくのだと思います。今はコロナ禍の対応としてお話ししていますが、商品開発など何をするにしても、平時からこれらのことを意識していくのは大切なことだと思います」(田中氏)

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