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ヤクルト&オリックス、“満足度”でも飛躍 〜プロ野球満足度調査

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 今年もプロ野球が開幕した。“ビッグボス”こと新庄剛志氏が新監督を務める北海道日本ハムファイターズの動向や、千葉ロッテマリーンズ・佐々木朗希投手のプロ野球28年ぶりの完全試合達成など、2022シーズンの幕開け早々、球界周辺は大きな盛り上がりをみせている。

 そんななか、日本のサービス業における顧客満足、ロイヤルティの指数化などを研究している慶應義塾大学・鈴木秀男教授は4月、今年で14回目となる『プロ野球のサービスに関する(満足度)調査』の結果を発表した。全12球団のうち総合満足度1位を獲得したのは、【福岡ソフトバンクホークス】。昨シーズン5年連続の日本一は逃したものの、満足度調査においては昨年に続き3年連続、通算4回目の総合首位を獲得した。

 同調査は、昨シーズン(2021年)1回以上、応援するチームのホーム球場で試合観戦をした人を対象に、最も応援するチームの満足度について調査したもの。総合満足度については、「チーム成績」「チーム・選手」「球場」「ファンサービス・地域貢献」「ユニホーム・ロゴ」という5つのサービス品質から構成されている(各品質は、それぞれ複数の設問によって成り立っている)。

21年シーズン、プロ野球の各球団サービス 総合満足度ランキング

順位(前年)

球団名

総合満足度
スコア平均値

1位(→1位)

福岡ソフトバンクホークス

75.03

2位(↑10位)

東京ヤクルトスワローズ

73.91

3位(↑12位)

オリックス・バファローズ

73.35

4位(↑6位)

千葉ロッテマリーンズ

72.42

5位(↓4位)

横浜DeNAベイスターズ

70.76

6位(↓5位)

東北楽天ゴールデンイーグルス

70.00

7位(↓9位)

阪神タイガース

66.80

8位(↓3位)

埼玉西武ライオンズ

65.57

9位(↓2位)

広島東洋カープ

65.07

10位(↓7位)

読売ジャイアンツ

64.54

11位(↓8位)

北海道日本ハムファイターズ

61.70

12位(↓11位)

中日ドラゴンズ

55.18

※2021年シーズンについて回答を得たもの

Vならずも…ホークスが高い満足度を維持する理由

 総合首位の【福岡ソフトバンクホークス】は2021年、2年連続のリーグ優勝、球団初の5年連続日本一をかけて大きな期待のかかるシーズンとなった。成績はパ・リーグ4位という結果に終わったが、ラストシーズンとなった工藤公康監督の勇姿、柳田悠岐選手、甲斐拓也選手、砂川リチャード選手など、主力・若手選手が一眼となって繰り広げた熱戦は、球場をおおいに沸かせた。

 総合満足度スコア平均値は75.03で、昨年よりも上昇(2020年シーズンの調査では74.89)。戦いは不本意な結果に終わったが、引き続きチームが支持されていることについて鈴木教授は、「地元出身者や潜在能力の高い選手を獲得し育成する方針を評価する声が目立つ。また、球場でのファンサービス、地域貢献活動の取り組みも良いとされ、継続して、チーム・選手の魅力、ファンサービス・地域貢献などが高い評価を得ており、総合力で高水準を維持している」と分析している。

リーグ優勝のヤクルト&オリックスが急上昇 注目度高まるロッテも飛躍

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 総合満足度2位は、昨年6年ぶり8度目のセ・リーグ優勝、20年ぶり6度目の日本一に輝いた【東京ヤクルトスワローズ】。昨年(2020年シーズン調査)の10位から大きく順位を上げたほか、総合満足度スコア平均値も11ポイント以上(62.85→73.91)アップした。

 総合満足度に紐づく5つのサービス品質のうち、とくに「チーム・選手」の項目において高い評価を得ているが、これについて鈴木教授は、「青木宣親選手、川端慎吾選手などのベテラン選手の健在ぶりに加え、奥川恭伸選手、村上宗隆選手といった若手選手の成長が高評価につながっている」と分析する。

 続く3位は、中嶋聡新監督のもと2021年シーズンを戦い、25年ぶりのリーグ優勝、日本シリーズ進出を果たした【オリックス・バファローズ】。回答者からは、山本由伸選手、宮城大弥選手らの若手の活躍、中嶋監督になってからのチームの雰囲気の良さを支持するコメントが目立ったほか、ファンサービスや選手とファンの距離感の近さを評価するコメントが多く見られている。

 本調査では、昨年の最下位(12位)から急上昇。合わせて、総合満足度スコア平均値も約14ポイント増加(59.28→73.35)し、大きな飛躍を遂げた。鈴木教授は、「優勝したことで、オリックスのチームアイデンティティが形成されつつある」とコメントしており、今2022年シーズンの行方に期待がかかる。

 なお、今回の調査では、ヤクルト、オリックスに加え、【千葉ロッテマリーンズ】(昨年6位→4位/スコア平均値72.42)、【阪神タイガース】(昨年9位→7位/スコア平均値66.80)が、総合満足度の順位を上げた。

 なかでも先日、最年少で完全試合を達成(2022年4月10日)した佐々木朗希投手の活躍も記憶に新しいロッテには、若手の成長を評価するコメントが多く寄せられたほか、地域貢献やファンサービスについても評価が高く、2020年シーズンの調査から続けて順位を上げる結果となっている。

 プロ野球も長らく“新たな様式”での展開が続いていたが、今シーズンは3年ぶりに観客人数制限なしでのスタート、延長線も3年ぶりに12回制での実施となっている。今年の球団の取り組みや選手たちのプレーが、どのようにチームの満足度に反映されていくのか、来年の結果にも注目だ。

【調査概要】
調査テーマ:プロ野球のサービスに関する(満足度)調査
研究者:慶應義塾大学 理工学部 管理工学科 鈴木秀男教授
調査実施日:2021年1月下旬
回答者数:1,394名
調査対象:プロ野球球団を応援し、2021年度シーズン中に、1回以上応援するチームのホーム球場で試合観戦をしている方/回答者は、最も応援しているチームのみに対して回答
調査方法:インターネット調査