コナカブランドが2冠 「紳士専門店」「スーツショップ」満足度、高品質とおもてなし力が評価ポイントに

スーツショップで商品を選ぶ客と販売員

 ビジネスファッションのカジュアル化、クールビズの浸透などによって消費者のニーズが変容している紳士服・スーツ市場。異業種の参入や低価格スーツの台頭もあり、業界全体の競争が激化している。今春にはコロナ禍の打撃を受け、スーツの需要が減少。顧客に対して新たな価値の提供が求められるなか、顧客満足度調査を行うoricon MEでは「紳士服専門店」「スーツショップ」について調査を実施。“満足度の高さ”に焦点を絞り、ランキングを発表した。

 結果、「紳士服専門店」では【コナカ】、「スーツショップ」では【SUIT SELECT】が満足度総合1位を獲得。両ランキングともに株式会社コナカが展開するサービスが首位に輝いた。実際にどのような点が満足度の高さにつながったのか。ランキング結果と同社の取り組みから探っていこう。

「紳士服専門店」「スーツショップ」ランキング 総合TOP4

「紳士服専門店」ランキング 総合TOP4

総合順位

サービス名(企業名)

総合得点

1位

コナカ
(コナカ)

74.45

2位

洋服の青山
(青山商事)

73.87

3位

AOKI
(AOKI)

73.64

4位

紳士服はるやま
(はるやまホールディングス)

72.86

「スーツショップ」ランキング 総合TOP4

総合順位

サービス名(企業名)

総合得点

1位

SUIT SELECT
(コナカ)

74.26

2位

P.S.FA
(はるやまホールディングス)

73.75

3位

ORIHICA
(AOKI)

73.34

4位

THE SUIT COMPANY
(青山商事)

72.82

「紳士服専門店」と「スーツショップ」の違い
 前述したように、「紳士服専門店」と「スーツショップ」を区別して調査しているため、両者の違いについて簡単に触れておく。

 同調査では、男性用既製スーツや礼服をメインで販売するチェーン店を「紳士服専門店」、若年層や女性をターゲットに自社ブランドの既製スーツをメインで販売する店舗を「スーツショップ」と定義した。それぞれ以下のような特徴がある。

■紳士服専門店
・価格設定が幅広い(1万円以下〜10万円以上)
・自社ブランドだけでなく様々なメーカーの既製スーツを販売
・全国に出店
・郊外、主要幹線道路沿いなどに立地

■スーツショップ
・価格設定がわかりやすい(2〜4パターン)
・自社ブランドをメインに販売
・主に都市部、繁華街エリアに出店
・ファッションビル内、駅前などに立地

これらの点をふまえて、同社のサービスが支持されたポイントを見ていく。

「高品質」を軸に多様なニーズに応えるコナカ

 「紳士服専門店」ランキング総合1位の【コナカ】(74.45点)は、首都圏を中心に東北、東海エリアで150店舗以上を展開(2020年9月現在)。「すべては品質から。」のスローガンが示すように、こだわり抜いた生地や、社内専属のパタンナーによって仕上げられたシルエットと着心地の良さが、上質さを求めるビジネスパーソンの心を掴んでいる。

 商品の企画から製造、流通、販売までを自社で手がけるSPA(製造小売業)方式を採用している点も強みだ。これにより、余分なコストを生まず、高品質な商品を提供できている。

 さらに顧客の多様なニーズに対応すべく、高級ウールを使用したウォッシャブルスーツを販売。家庭で洗えるスーツは他社でも取り扱われているが、高級ウール素材のウォッシャブルスーツは同社独自のもの。その他、従来のスーツよりも伸縮性に優れた「ウルトラムーブスーツ」を開発・販売するなど、さまざまな高機能スーツを展開している。

 回答者からは、品質だけでなくスタッフの接客力も高く評価されており「素晴らしいコーディネートをしてもらってとても満足した」(30代・男性)「スタッフの方に話しかけやすい雰囲気がある。スーツの色味で迷っているときに、率直に尋ねることができた」(50代・男性)「リクルートスーツを購入した際、何を選んでいいか分からない私に丁寧に説明してくれ、とても安心できたし助かった。また、品質も良く、現在でも全く型崩れしていない」(20代・男性)などのコメントが寄せられた。

佐藤可士和氏プロデュース、選びやすいラインナップが魅力のSUIT SELECT

 一方、「スーツショップ」ランキング満足度総合1位の【SUIT SELECT】(74.26点)は、スタイリッシュなデザインのプライベートブランドを手頃な価格で販売。「2ライン×2プライス」というわかりやすいデザイン展開と価格設定によって、メインターゲットである若年層のビジネスパーソンや就活生から支持されている。

 ブランドのトータルプロデューサーは、国内屈指のクリエイティブディレクター・佐藤可士和氏。シンプルな縦ラインのシンボルマーク、ホテルの巨大なウォークインクローゼットを思わせるような店内など、無駄のない洗練されたデザインが【SUIT SELECT】のコンセプトを体現している。

 2020年2月からは、AI採寸アプリが導入され、パターンオーダースーツの出来上がりサイズや【SUIT SELECT】の店内で取り扱っているスーツの最適なサイズを手軽に把握できるようになった。

 ファストファッションや大手小売店のプライベートブランドの参入で、低価格スーツが台頭するなか、価格以外の価値を顧客に提供し、リーディングカンパニーとして業界に新たな風を吹き込もうとする姿勢がうかがえる。

 回答者からは「自分の予算にあった価格帯でなおかつ生地の素材などもそれなりに上質」(20代・男性)「面接用のスーツを買いに行ったが、店員さんの提案してくれたコーディネートがよかった。説明も分かりやすく、商品の特徴がよく分かった」(30代・女性)「どこから探していいかわからなかったときに、どう並んでいるかをわかりやすく教えてくれたり、店頭にあるスーツの色違いやサイズ違いを聞いたときに嫌な顔をせず、すぐ調べてくれた」(20代・女性)などのコメントが寄せられた。

消費者がとくに重視する点は「商品の質」と「コーディネート力」

 同調査では「紳士服専門店」「スーツショップ」ともに、11の評価項目(「商品の質」「店員の接客力」「コーディネート力」「店の雰囲気・清潔さ」「お直しサービス」など)を設けているが、回答者がサービスを選ぶ際(利用前)に最も重視した項目は「商品の質」と「コーディネート力」で、この2項目だけで全体の3〜4割ほどを占めた。(表1、2)

【表1】「紳士服専門店」利用者が重視した項目

項目名

構成比率(%)

商品の質

21.48

コーディネート力

12.97

コストパフォーマンス

10.80

利用のしやすさ

10.02

商品の豊富さ

9.90

特典・キャンペーン

9.49

店員の接客力

7.37

お直しサービス

6.27

店の雰囲気・清潔さ

4.74

商品の探しやすさ

4.53

試着室の使いやすさ

2.42

【表2】「スーツショップ」利用者が重視した項目

項目名

構成比率(%)

商品の質

24.18

コーディネート力

13.29

コストパフォーマンス

11.50

商品の豊富さ

10.11

利用のしやすさ

9.97

特典・キャンペーン

6.87

店員の接客力

6.45

お直しサービス

6.09

商品の探しやすさ

4.98

店の雰囲気・清潔さ

4.78

試着室の使いやすさ

1.78

 【コナカ】はこれら2つの項目を含む10項目で満足度1位を獲得しており、顧客が重視する点をおさえていると言える。(表3)

 同様に【SUIT SELECT】でも、これら2項目で高い評価を得ており、「商品の質」こそ総合2位の【P.S.FA】に僅差で及ばなかったものの、「コーディネート力」を含む7項目で首位を獲得。さらに目的別の「就活スーツ」「ビジネススーツ」、「クールビズ」でも1位となった。(表4)

 なお、「紳士服専門店」満足度総合2位は【洋服の青山】(73.87点)で、評価項目別の「特典・キャンペーン」、目的別の「クールビズ」「高機能スーツ」でそれぞれ1位を獲得。3位は【AOKI】(73.64点)で、目的別の「フレッシャーズスーツ」で3年連続、「フォーマル」は4年連続で1位となった。(表3)

「スーツショップ」ランキングの満足度総合2位は【P.S.FA】(73.75点)。評価項目別の「商品の質」、「商品の豊富さ」、「商品の探しやすさ」、「特典・キャンペーン」の4項目、目的別の「フォーマル」で1位となり、昨年の総合順位4位から上昇した。続く3位は【ORIHICA】(73.34点)で「店員の接客力」「利用のしやすさ」などの項目で高く評価された。(表4)

【表3】「紳士服専門店」評価項目別ランキング、目的別ランキング

「紳士服専門店」評価項目別ランキング

紳士服専門店・評価項目別ランキングの表

「紳士服専門店」目的別ランキング

紳士服専門店・目的別ランキングの表

【表4】「スーツショップ」評価項目別ランキング、目的別ランキング

「スーツショップ」評価項目別ランキング

スーツショップ・評価項目別ランキングの表

「スーツショップ」目的別ランキング

スーツショップ・目的別ランキングの表

コロナ禍で需要減も、オリジナルマスクの販売等で顧客接点を持つ

マスクの上に小さな人形が乗っている

 冒頭でも触れたように、昨今はビジネスファッションのカジュアル化が進み、労働人口の減少やスーツの低価格化など業界を取り巻く環境は変化している。加えて新型コロナウイルスの感染拡大により、紳士服・スーツ市場も大きな打撃を受けた。入学式や入社式の中止、テレワークの普及などによりスーツの需要が減ったことで、店舗に足を運ぶ人が少なくなっているのが現状だ。

 そのような状況のなかで、各社ともそれぞれ工夫を凝らしたオリジナルマスクを販売するなど、時代に合わせたアプローチを即座に展開。シャツ生地を使用したものや、保冷剤付きのもの、ワイヤー調整によってあご部分に隙間を持たせ、暑さやムレを軽減できるものなど、利便性に優れたマスクはテレビでも紹介されるなど、話題となった。

 コロナ禍においても顧客との接点を持ち続け、期待に沿えるよう行動する瞬発力は、今後の業界発展に欠かせない原動力となり、サービスのさらなる向上にもつながっていくのではないだろうか。

「オリコン顧客満足度調査(R) 紳士服専門店」調査概要
●回答者数:5,208人  
●調査企業数:8社
●規定人数:100人
●定義:広域エリアまたは特定エリアで多数の店舗を運営しており、主にアパレルメーカーから仕入れた男性用既製スーツや礼服をメインで販売する「大手スーツ量販店」を運営する企業。ただし、GMSや百貨店等の紳士服売り場やアパレル衣料店、セレクトショップ、特定サイズのスーツ専門店、レディーススーツ専門店などは対象外とする。
●調査期間:
2020/04/23〜2020/04/30
2019/04/17〜2019/04/22
2018/05/31〜2018/06/18
●調査対象者
性別:指定なし
年齢:18歳以上
地域:全国
条件:
1)過去3年以内に、スーツ量販店で自分用のスーツや礼服を購入、または商品選定に関与し、家族などに購入してもらったことがある人。
2)スーツの価格を把握している人。ただし、オーダーメイドスーツ購入者は対象外とする。

「オリコン顧客満足度調査(R) スーツショップ」調査概要
●回答者数:2,582人
●調査企業数:4社
●規定人数:100人
●定義:以下の条件をいずれも満たす企業
1)男性用メーカー既製品スーツをメインに販売する大手スーツ量販店が別ブランドとして展開するスーツショップ。
2)自社ブランドの既製スーツ販売をメインとしているスーツショップ。ただし、ワイシャツやカジュアル衣料など、スーツ以外の商品が主力のブランドは対象外とする。
●調査期間:
2020/04/23〜2020/04/30
2019/04/17〜2019/04/22
2018/05/31〜2018/06/18
●調査対象者
性別:指定なし
年齢:18歳以上
地域:全国
条件:
1)過去3年以内にスーツショップで自分用のスーツや礼服を購入、または商品選定に関与し、家族などに購入してもらったことがある人。
2)スーツの価格を把握している人。ただし、オーダーメイドスーツ購入者は対象外とする。