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サカイ引越センター、成長の秘密は「まごころ経営」の実践にあり/田島哲康社長インタビュー【前編】

3.コロナ禍、業界が打撃を受ける一方で、サカイ引越センターが強さを見せた理由

サカイ引越センター・代表取締役社長の田島哲康 氏

サカイ引越センター・代表取締役社長の田島哲康 氏

 2020年は新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた業界も多いが、引越業界も例外ではない。「(2020年の)3月後半から法人部門でお引越のキャンセルがありました。ただ、新型コロナが顕在化してきた1月頃から、法人に影響が出ることを見越して先手を打ち、ネットを中心に個人の受注を増やす努力をしました。比較サイトなども含め、チャネルを多展開することで、コロナ禍でも取扱引越件数は前年より伸ばすことができました。単価が下がっている分、件数を増やすことで持ち堪えることができました」(田島氏)

 一方、新型コロナの影響により、良い方向へ向かったこともあったという。これまで全国から幹部を集めていた会議もZoomでのオンライン開催が主流となり、顧客に関しても見積もりから契約まですべてリモートで完了することが増えた。「コロナを機に新たな局面に入り、難しい時期だからこそ、限られた状況でもより効率を高めて生産性が上がる仕組みができたように感じています」(田島氏)

4.創業50周年、先々を見据えグループ全体でさらなる飛躍を目指す

サカイ引越センターのトラック

 同社は2020年11月に創業50周年を迎えた。創業以来、右肩上がりの成長を続けているが、「今後はグループ企業の成長がカギになる」と田島氏は話す。「サカイ引越センター単体で売上高1000億円までは施策を含めて道筋が見えてきましたが、その後はグループ会社の成長にかかっています。少子化や核家族化で10年先の引越業界は縮小する。だからこそ、通販やリユース事業、クリーンサービス、電気工事などのグループ会社を伸ばすことが重要です。今はお引越をされるお客さまをメインに展開していますが、今後はサカイ引越センターを利用されていないお客さまも増やしていきたいと考えています」(田島氏)

 引越業は労働集約型の仕事だが、モノを買い替えるタイミングでもあると考えればビジネスチャンスも広がる。「入居時に家電や家具の提案もできればお客さまの手間は少なくなり、我々も利益につながる。お客さまの新生活をさまざまな面からサポートすることで、今後は幅広くビジネス展開をしていきたいですね」(田島氏)

(インタビュー・文/若尾礼子)

【後編】
「勉強しまっせ」徳井優の“再登場”も話題! サカイ引越センター、一貫したCM戦略とともに成長した50年

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プロフィール

サカイ引越センター・代表取締役社長 田島哲康 氏

田島哲康(株式会社サカイ引越センター 代表取締役社長)
たじま・てつやす●1966年、大阪府生まれ。大阪府堺市で引越会社を立ち上げた創業者夫妻・田島憲一郎氏と治子氏の長男として生まれる。大学卒業後、1991年、サカイ引越センターに入社。1993年に取締役、2000年に常務取締役、2008年に取締役副社長を経て、2011年より現職。

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