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「オンリーワンのチームづくり」が最高の結婚式を創る カギは“直接雇用”のアルバイト育成に/ブラス・河合達明社長インタビュー【後編】

3.「最高の結婚式」を創るために不可欠な“アルバイト(プリティージョブ=PJ)”

グループの全アルバイトの中から“最優秀スタッフ”を決めるイベント『PJアワード』の模様

グループの全アルバイトの中から“最優秀スタッフ”を決めるイベント『PJアワード』の模様

 そんな最高のチームを作っていく上で、とても重要なのが「アルバイトスタッフの存在」と河合氏。それもそのはず。現在、社員数406名に対して、アルバイトの数は700名ほど。式当日、現場で直接的にサービスを提供するスタッフの多くは、アルバイトなのだ。より良い仕事をしてもらうべく、同社では創業時からアルバイトを「直接雇用」で契約。そして、親しみを込め“プリティージョブ=PJ”という愛称で彼らのことを呼んでいる。

「学生を中心としたアルバイトスタッフの協力なしにできる結婚披露宴は、日本全国を見渡しても1つもありません。私はこの仕事を好きになり、楽しく働いてもらうことがプロフェッショナルへの近道だと考え、直接雇用というスタイルを貫いています。配膳会社を入れてサービススタッフを外注している結婚式場が多いこの業界の中で、非効率だとよく言われますが、ゼロから人材を育てていくということですよね。なぜかと言うと、楽しければ一生懸命働くようになる。すると、自発的に考えて行動するようになります。それがお客さんやバイト仲間、社員から評価され、その子の成長につながる。決して簡単なことではありませんが、その繰り返し、循環させていくことが重要なんです。手前味噌ですが、うちには結婚式への想いが熱い子たちがたくさんいますよ」(河合氏)

 アルバイトスタッフに、ブラスの“ファン”になってもらう。それを実現するため、さまざまなイベントも実施している。同社では年に1回、グループの全アルバイトの中から最優秀スタッフを決めるイベント『PJアワード』を開催。各式場から選ばれたスタッフが日頃の経験を活かして考えたプレゼン&スピーチを発表し、当日に向けては各式場のプランナーやシェフも準備などサポートを行う。そして、同じく年に一度、開催されるのが『PJ祭り』。これはいわゆるPJの卒業式で、社員たちがアルバイトスタッフに感謝を込めて、その門出を盛大にお祝いする。

  • グループの全アルバイトの中から“最優秀スタッフ”を決めるイベント『PJアワード』の模様

    グループの全アルバイトの中から“最優秀スタッフ”を決めるイベント『PJアワード』の模様

  • 『PJアワード』は、各式場のプランナーやシェフも準備などサポートを行う

    『PJアワード』は、各式場のプランナーやシェフも準備などサポートを行う

  • “プリティージョブ=PJ”こと、アルバイトスタッフたちの卒業式である『PJ祭り』も行っている

    “プリティージョブ=PJ”こと、アルバイトスタッフたちの卒業式である『PJ祭り』も行っている

  • 『PJ祭り』の模様。卒業証書授与では、涙する人も

    『PJ祭り』の模様。卒業証書授与では、涙する人も

「アルバイト・社員それぞれの余興大会があったり、厨房スタッフ特製のビュッフェ料理を食べながら歓談したり。特製の卒業証書も手渡ししています。彼らには良い思い出を作ってあげたいんですよね。ここで働いた経験は今後の糧になるでしょうし、将来うちで結婚式をやってくれるかもしれない(笑)。お客さまだけでなく、働いてくれるスタッフにも結婚披露宴の素晴らしさを感じてもらい、ブラスのファンになってもらいたいんです」(河合氏)

4.「ファンを創る」ことは、ウエディング市場全体の活性化にもつながる

 ウエディング市場は、少子化、晩婚化などの影響で減少傾向にあるものの、“おもてなし志向”の高まりか、国内ではハウスウェディング市場のシェアが年々拡大している。結婚式披露宴を行わない“ナシ婚”も流行しているが、それは同市場の伸びしろでもあり、この潜在顧客にどうアプローチしていけるかが業界全体の課題の1つ。「ファンを創る」という河合氏の考えは、市場の活性化につながっていきそうだ。

「今後もSNSやブログ、ラジオなど、さまざまなツールを活用しながら、結婚披露宴の魅力を発信していきたいですね。いい結婚式を創るためにさまざまなことにこだわっているので、その素晴らしさを知っていただけたら、絶対に『私たちもやりたい!』って感じていただけると思うんです。業界を盛り上げていくために、できることはたくさんあるなと思っています」(河合氏)

プロフィール

河合達明氏

河合達明(株式会社ブラス 代表取締役社長)
 1966年、愛知県稲沢市生まれ。21歳のとき友人から結婚式の司会の依頼を受け、人生初の司会に挑戦。以後、会社員として働きながら、友人・知人から依頼を受けた司会を続けていたところ、司会者事務所にスカウトされ所属。1998年、結婚式の司会者派遣を行う有限会社ブラスを設立。多くのホテルや専門式場を司会者として回るうちに、「もっと良い結婚式を創りたい」という思いが募り、2003年に愛知県・一宮市の住宅展示場を結婚式専門の施設「ゲストハウス」としてリニューアル。1号店となる「ルージュ:ブラン」を開店し、ハウスウエディング事業をスタートさせた。2016年に東証マザーズ・名証セントレックスに新規上場。2017年には東証一部・名証一部へ市場変更を果たす。2020年3月20日には、千葉県船橋市に関東初出店となる「アコールハーブ」を、同4月には京都府京都市に「アトールテラス鴨川」を新規オープン。2020年4月現在、全国に23店舗の直営店型ゲストハウスを展開する。また、婚礼衣装のレンタルやレストラン運営、司会、演出業なども行っている。

>ブラス 公式サイト(外部リンク)
>ブラス コーポレートサイト(外部リンク)

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