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アンガーマネジメントとは?「ムダな怒り」を削減するコツを紹介

3.【ポイント1】スマホやノートにメモ!まずは、自分の「怒りの傾向」を知る

(windy163さんによる写真ACからの写真)

(windy163さんによる写真ACからの写真)

――ムダに怒らず、上手に怒る。なかなか難しそうです。
石井 やり方さえわかれば、子どもでもできますし、実際にジュニア向けの講座なども開催されています。まず、重要なのは、自分自身の怒りの傾向を知ること。最近怒ったことを思い浮かべるところからスタートしてみてください。同じ体験をしても、それで怒る人もいれば、まったく気にならない人もいます。また同じ人であっても、その出来事の起きたタイミングやシチュエーション、一緒にいる人などの条件によって、イライラしたりしなかったりと、反応は異なったりもする。自分の怒りを理解するためには、怒ったことを記録する「アンガーログ」という手法がとても有効です。怒りを感じたとき、できる限りその場で、スマホやノートなどに内容をメモします。日時、場所、出来事、それに対してどう感じたか、自分の行動などを簡単に記録する。これを1週間〜10日ほど続けてみれば、ご自身の怒りの傾向を客観的に理解する手がかりとなります。ここで大切なのは、同時にその「怒りの強さ」を10段階で記録しておくこと。これは、「スケールテクニック」という手法になります(下図参照)。

4.【ポイント2】自分と怒りの関係が理解できるようになる「スケールテクニック」

――なるほど、まず自分の怒りの傾向を知らなければ、対策の立てようがないわけですね。10段階というのは、どのように初期設定すればいいのでしょうか。
石井 本当に許せない、人生で最大級の怒りを感じたような経験を10と設定して、それに対して現在の怒りがどのくらいのレベルなのか、という評価を続けてみてください。ご自分が何に対してより強いこだわりを持ち、重要だと考えているのか、その傾向がどんどん理解できるようになっていきます。そこから、ではその怒りをどう回避すればいいのかを考えていく。

――新型コロナウイルス感染拡大防止のため、最近はスーパーのレジなどで2mほど距離を空けて並んでいますが、ご高齢のおじいさんが知ってか知らずかスッと間に入ってきたりして、イライラすることがよくあります……。
石井 対処としては、「これくらいは良いか」と気にせず放置するか、あくまで声を荒らげたりせず、にこやかに指摘して並び直してもらうか。どちらかを選ぶくらいしかありませんが、そうした場合にも、列に割り込まれた(=社会のルールを守らない)ことへの怒りなのか、おじいさんに並び直すよう声をかけられなかった自分に対してイライラしたのか、そこを含めて記録していくわけです。