コラム

今日からはじめるアンガーマネジメントPart1 「ムダな怒り」を削減するには?

5.【ポイント3】怒りの感情のピークは6秒間、深呼吸などで意識を反らす心がけを

――実は先日、声をかけて指摘したお相手の耳がかなり遠くて、結果的には、スーパーのレジ前で大声を出して老人にキレている人、みたいな構図になってしまいました(笑)。
石井 それは、お気の毒です(苦笑)。でも、実際に怒鳴っていたわけではありませんから、問題はないのでは? アンガ―マネジメントには3つの重要なキーワードがあって、それを「3つの暗号」と呼びます。1つ目は「衝動のコントロール」、2つ目は「思考のコントロール」、そして3つ目は「行動のコントロール」です。イライラして怒っている状態というのは、瞬間的、衝動的な怒りに飲み込まれてしまった結果と考えられますよね。そのような場合は、「衝動のコントロール」を意識します。実は怒りの感情のピークというのは、せいぜい6秒ほどだということが研究結果として知られています。この6秒間は、怒りをコントロールするのがなかなか難しい。

――いわゆる、カーッとなっている状態ですね。
石井 ですが、逆にこの6秒間さえやり過ごすことができれば、ピークは乗り越えられるわけです。簡単に言えば、ほかのことに気をそらしてしまえば良い。単純に心の中で6秒をカウントするのも良いですし、思いついた数字を頭の中で足したり引いたり、暗算をしてみても良い。大きな深呼吸を3回、それでも6秒くらいは経っています。また、自分が落ち着ける言葉を唱えてみるのも効果的です。「こういうこともあるさ」「大丈夫、だいじょうぶ」「助けて、ドラえもーん」「なんくるないさあ」など、しっくりくるものならなんでも良いんです。ペットの名前でも良い。これは「コーピング・マントラ」と呼ばれる魔法の呪文のようなもので、あらかじめ決めておくと良いでしょう。ストレスを和らげる効果があり、怒りそのものから意識をそらすこともできます。また、先ほどのスケールテクニックという手法で、この怒りは10段階のうち、どのくらいのレベルだろう?と考えてみるだけで6秒くらい経っていることも多いはず。

6.ストレートに怒りをぶつけ、人を動かすという方法論は時代錯誤

――いわゆる脊髄反射的な、売り言葉に買い言葉、みたいな状況を意識してズラすということですね。
石井 待つことで冷静になれる、という意味では、メールやSNSなどを使用する場合にも大切な考え方です。反射的に返すことを避ける。昨今、ハラスメントの訴えで激増しているのは、深夜でも思いついたらすぐに連絡できるグループメッセージなどの例です。そもそも、深夜のひらめき自体にも要注意なのですが、カーッときて、CCやグループで大勢に一斉に連絡しつつ、実はその中の誰かに対する怒りを表現してしまう。ダメ出しされた当人はもちろんですが、それを見た人はまず全員が嫌な気持ちになってしまいます。怒りの発露でスッキリするのは一瞬のことですし、怒りをストレートにぶつけて人を動かすという、昭和のお父さんやスポーツ監督などによくありがちだった方法論は、今やったらほぼパワハラ。6秒どころではなく、たとえば翌朝まで待つことも、このような場合には重要でしょう。

――なるほど。そのあたりも含めて「衝動のコントロール」なのですね。では残る「思考のコントロール」、「行動のコントロール」とは、どのようなテクニックなのでしょうか。
石井 それについては次回、詳しく説明していきますね。いったい「怒りの正体」はなんなのか?という、根本的な話から探っていくことになります。