特集

プロ野球満足度、ソフトバンク4年ぶり首位獲得の理由とは

5年ぶりリーグ優勝を果たした巨人が急上昇、SNS戦略でファンとの新たな接点を創出

 昨年9位から5位へと急上昇したのは、【読売ジャイアンツ】。総合満足度スコア平均値は、56.57から66.19と10ポイント近くアップした。

 19年のジャイアンツは、原辰徳氏が15年以来3度目(通算13年目)の監督に就任して1年目のシーズン。原体制のもと、主将の坂本勇人選手を筆頭とした粒ぞろいの選手陣らの活躍、古巣に指導者として帰ってきた宮本和知氏、元木大介氏らコーチ陣のサポートによって良質なチームワークが作られ、ジャイアンツは見事5年ぶりのセ・リーグ優勝を果たした。

 回答者からは、「スター選手が常にいて応援のしがいがあるし、試合もレベルが高く面白い」(東京都・男性/45〜49歳)「チームの成績が上がってきている」(岡山県・男性/35〜39歳)「面白い試合を見せてくれる」(群馬県・男性/〜19歳)といったコメントが散見され、特に「チームの成績」や「チーム・選手」に対しての満足度が上昇している様子がうかがえる。

 加えて、独自の企画イベントやシートの豊富さなど「ファンサービスが良い」(千葉県・女性/45〜49歳)「昔に比べて選手を身近に感じるファンサービスが増えた」(東京都・男性/55〜59歳)という点で満足しているという声も。

 ジャイアンツでは、チームや選手により親近感を持ってもらうことを目的に16年3月、公式YouTubeチャンネルを開設。しばらくは模索しながらの運営が続いていたようだが、昨年12月にSNS戦略を担う専門部署として「ブランドコミュニケーション部」を新設したことが契機となり、YouTubeのチャンネル登録者数はプロ野球球団最多の20.2万人。また、Twitterでも46.4万人、Instagramでも35.5万人という数のフォロワーを有している(※20年5月21日現在)。

 選手やコーチ陣の素顔も垣間見ることができる練習風景や、選手が1対1で顔を突き合わせるトーク企画など、シンプルながら球団の魅力を感じることができる投稿内容で、マスメディアと棲み分けした独自の発信を強化したことが、ファンと球団・選手との距離感を縮めているようだ。

 今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、プロ野球界では、春季キャンプ等でのファンサービス自粛や練習試合の中止など、従来のようなファンとのコミュニケーションが取りづらい状況に陥っている。そんななか、各球団ではジャイアンツを筆頭にオンラインを介したコミュニケーションを促進したり、交流イベントを企画したりと、新たな手法で関係値を深めている。そういった取り組みが、今後の各球団の満足度、延いては球界全体にどのように反映されていくのか、来年の結果にも注目だ。

【調査概要】
調査テーマ:プロ野球のサービスに関する(満足度)調査
      http://lab.ae.keio.ac.jp/~hsuzuki/baseball0901/index.html(外部リンク)
研究者:慶應義塾大学 理工学部 鈴木秀男教授
調査実施日:2020年1月下旬
回答者数:1432名
調査対象:プロ野球球団を応援し、2019年度シーズン中に、1回以上応援するチームのホーム球場で試合観戦をしている方/回答者は、最も応援しているチームのみに対して回答
調査方法:インターネット調査

  1. 前へ
  2. 1
  3. 2
  4. 3