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キーワードは「見直し」、コロナ禍の消費者と企業のコミュニケーションの在り方とは|Twitter Japan 森田謙太郎氏 連載コラム#2

エンターテインメントはもちろん、各種サービス業においても「Twitterを介した顧客とのコミュニケーション」は年々重要度を増しています。そんななか、国内外での新型感染症の流行により、日常生活や働き方にさらなる変革の波が。今回は、ツイッタービジネスマーケティング責任者の森田謙太郎さんに、今だからこそできるオンライン上での顧客との関係作りと、非常時に意識したいTwitterの活用アイデアについて、全3回にわたり紹介していただきます。

<バックナンバー>
>#1 非常時に「双方向」「リアルタイム」でのコミュニケーションが効果的なワケ
>#2 キーワードは「見直し」、コロナ禍の消費者と企業のコミュニケーションの在り方とは
>#3 コロナ禍に求められる「寄り添う」コミュニケーション、好例を交え解説

プロフィール

森田謙太郎
もりた・けんたろう/Twitter Japan株式会社 ツイッタービジネスマーケティング責任者。さまざまなライフスタイルトレンドのリサーチを行うほか、業務の一環として企業・店舗に勤務するTwitter運用担当者を対象に「Twitterビジネス活用セミナー」を全国各地およびオンライン上にて定期的に開催している。「NewsPicks」ではアカデミアプロフェッサーとして、Twitterビジネス活用の動画講座を展開。これらの経験を活かし、静岡のFMラジオ局・K-mixの番組『RADIOKIDS』(@kmix_kids/毎週火曜18時15分〜)にトレンドリサーチャーとして出演中。

Twitterアカウント:@motaro
>Twitterビジネス活用パワーアップセミナー(外部リンク)

非常事態時、企業の広告宣伝活動に消費者が求めていること

 こんにちは。Twitter Japanの森田謙太郎です。前回は、非常事態が起きた際のビジネス対応としてこれまでにもあった「自粛」という考え方に“新しい動き”が見え始めている、というお話をしました(第1回「非常時に『双方向』『リアルタイム』でのコミュニケーションが効果的なワケ」参照)。

 今回のパンデミックは、世界的な規模としては未曾有の非常事態。未だに終わりの見えない状況のなか、新しい様式での生活を続けるうちに「自粛疲れ」を起こしている人や企業も少なくありません。

 そのようななかでも、「企業やお店」と「お客さま」とが、しっかりと関係性を築き続けている様子を窺い知ることができます。たとえばTwitter上では、テイクアウトでの食事を意図的に増やし、馴染みの店をサポートするための行動を起こしたり、(企業や店を守るため)周囲に呼びかけをしたりする人々の姿が数多く見られます。

 企業としても、社会全体や自社のビジネスへのダメージを最小限に抑えるためには、「自粛」から一歩踏み出し、世の中の雰囲気を察知するために今まで以上にアンテナを張り、寄り添いながら行動していく必要があるのではないでしょうか。

 Kantar Japanによる2020年3月の調査によると、このコロナ禍において「企業が広告宣伝活動を自粛すべき」と考えている人は、わずか8%にとどまるとのデータがあります。パンデミックが続くなかでも、大多数の消費者は企業の広告が社会に積極的な貢献をする、と期待しているのです。その具体的な方法として、消費者に寄り添うメッセージや、今の生活課題を解決するための提案を期待している。そのようなことを下記のデータから読み取ることができます。

「そのブランドが新しい日常生活にどのように役立つかについて伝えてほしい」:77%
「状況に立ち向かうためのブランドの努力を表明してほしい」:75%
「消費者にブランドが安心感を与えてほしい」:70%

出典: Kantar Japan「新型コロナウイルス(COVID-19)バロメーター調査」2020年3月

 事態の収束に向けて、自粛に対する意識の弱まり、そして打開に向けたポジティブ意識の高まりはより顕著になっていくと考えられます。ただし、同調査における次のデータも見落としてはなりません。

「コロナウイルスの状況を悪用してブランドを宣伝しないでほしい」:75%
「滑稽な口調は避けるべきである」:40%

出典: Kantar Japan「新型コロナウイルス(COVID-19)バロメーター調査」2020年3月

仕事、趣味、価値観など、多くの人々が自身を「見直す」タームに

 パンデミックが続くなかでの宣伝・マーケティング活動には、十分注意が必要でもあります。Twitterで広告を掲載する際にも、新型コロナウイルスに乗じた商品の宣伝活動や、真偽の判断が困難な情報の提供を制限する掲載ガイドラインが新たに定められました。今までと同じように、「何も気にせず、どんどんマーケティングやPR活動をしていきましょう!」という話ではないのです。

 移動の制限や自宅での待機を長期的に迫られると、気持ちが不安定になりやすく、普段は気にならない小さなことでも敏感に反応してしまう方も増えてくるでしょう。そして、もう1つ忘れてはならない視点として、「現在の生活は、医療従事者や生活の基盤となるさまざまなインフラに従事する方によって支えられている」ということ。新型コロナウイルスと共存する今の時代において、マーケティングやPR活動はいわゆる「ニューノーマル」という新しい世界観に沿ったコミュニケーションであることが重要なのです。

 その世界観を象徴するものとして、Twitter上で最近使われる頻度が急上昇したキーワードがあります。それは「見直す」という言葉。コロナ禍をきっかけに、多くの人が自分自身をさまざまな側面から「見直す行動」を取っているからこそでしょう。

 仕事、趣味、生活、環境、価値観――。おそらく消費者は、企業が今までと全く同じトーンでコミュニケーションすることを望んではいないはずです。であれば、企業側としても消費者とのコミュニケーションを基礎部分から「見直す」ことで、これまで以上に多くの消費者の「今」に寄り添うことができるのではないでしょうか。そしてこの「見直す」、「寄り添う」行為の双方に適したプラットフォームがTwitterなのです。

 次回は、Twitterが「見直す」、「寄り添う」行為に適している理由と、この数ヶ月においてTwitter上で行われた企業の優れたコミュニケーションの事例を一緒に見ていきましょう。

【次の記事
>連載コラム#3 コロナ禍に求められる「寄り添う」コミュニケーション、好例を交え解説