トップの理由

清掃業者を「憧れのヒーロー」に、“おそうじオタク”視点から生まれた品質向上改革/KIREI produce・福井智明社長インタビュー【前編】

KIREI produce代表取締役社長・福井智明氏

「オリコン顧客満足度調査」の各種ランキングで1位を獲得した企業のトップへのインタビュー企画、【トップの理由】。今回は2回にわたって、2020年 ハウスクリーニングランキングで同調査(ハウスクリーニング)開始以来の最高得点で満足度総合1位を獲得した「おそうじ革命」を展開する、KIREI produce代表取締役社長・福井智明氏にご登場いただく。前編はハウスクリーニングにかける強い思い入れや、業界の地位向上への取り組みについて伺った。 (文/児玉澄子)

1.リピーター率は驚異の80%、支持される「おそうじ革命品質」とは

おそうじ革命のイメージキャラクターは「ぱれっと」。ウサギは“キレイ好き”な性格であることから、白いウサギが採用されたんだとか。

おそうじ革命のイメージキャラクターは「ぱれっと」。ウサギは“キレイ好き”な性格であることから、白いウサギが採用されたんだとか。

 女性の社会進出や清潔意識の向上といった社会情勢から、ニーズの拡大を続けるハウスクリーニング業界。老舗の大手事業者も堅調、さらなる成長が期待できる産業として他業種からの参入も増えている。まさにしのぎを削るハウスクリーニング業界だが、その中でも、オリコン顧客満足度「ハウスクリーニング」ランキングの7つの評価項目のうち、「スタッフの接客力」、「コストパフォーマンス」、「サービスの利用のしやすさ」など6項目で1位を獲得し、ハウスクリーニング調査開始以来の最高得点で満足度総合1位を獲得したのが、今年創業10周年を迎えたKIREI produceの「おそうじ革命」だ。

 同社は2010年に代表取締役社長の福井智明氏が、個人事業主として創業。2014年10月からはフランチャイズ(以下、FC)展開もスタートし、2020年5月時点で全国200加盟店以上へと広がっている。リピート率80%(同社調べ)という顧客満足度の高さから、売上もわずか10年で2400%増と急成長を遂げている注目の企業である。

 このたびの評価を受けて「お客さまが選んでくださったランキングだということが、何よりもうれしいです」と応える福井氏は、全国にFCチェーンを展開するハウスクリーニング事業者では唯一の「現場出身」の創業者だ。自ら現場で汚れと戦い、顧客の喜ぶ顔と向き合うなかで、目の当たりにしてきたハウスクリーニング業界のさまざまな課題。それらを克服するために資金50万円を握りしめ、たった1人で挑んだ「ハウスクリーニング業界の革命」は今、着実に実を結びつつある。

2.現場出身の創業者だからこそ気づけた、業界の根本的な課題

KIREI produce 代表取締役社長の福井智明氏(C)oricon ME inc.

KIREI produce 代表取締役社長の福井智明氏(C)oricon ME inc.

「徹底力」をスローガンに、リビングやキッチン、お風呂などあらゆる暮らしの場面におけるハウスクリーニングや、エアコン・洗濯機といった家電クリーニングなどの専門職のみで構成されるプロ集団「おそうじ革命」。その創業者で、自他共に認める“おそうじオタク”である福井氏が、ハウスクリーニング業界に入ったのは20年前。大手清掃会社のアルバイトとして「現場」に立ったのがその始まりだった。

「僕の実家は貧しくて、生家はボロボロの一軒家。その後に移ったのも小さなアパートでしたが、雨漏りしないだけでも感動したほどでした。自ら進んで掃除するようになったのも、前の家に戻りたくない一心から。ところが、そのうち気づいたのですが、家の中がキレイだと、たまにあった両親のケンカもなくなっていったんです。それが子ども心にうれしくて、やがて“おそうじオタク”へと変わっていきました」(福井氏)

 隅々まで手を抜くことなくキレイに磨き上げれば、必ず人の心に響く。そんな意識もあって、アルバイト先ではプロとしての技術もメキメキと向上。あまりにキレイな仕上がりに、ある顧客から「ゴッドハンド」とあだ名を付けられたこともあった。「福井くんにお願いしたい」と指名を受ける機会も増えたことから社内でも認められ、やがて現場から内勤の管理責任者へと昇進する。

「給料は上がりましたが、仕事は楽しくなくなりました。僕にとっては、現場をキレイにしてお客さまに喜んでもらうことが一番のモチベーションだったんです。また内勤になってから、お客さまからのクレームの声を聞くことも増えました。ハウスクリーニングをご依頼される方は清潔意識が高いですから、最後に髪の毛1本でも落ちていたらアウト。もともとクレームが多い業種ではあるんです。しかし、根本にある原因は、実際に現場に行く作業員のほとんどがアルバイトで入れ替わりも激しいため、『プロとしての技術と意識』が育たないことだと気付きました。“おそうじオタク”としてはそのことがもどかしく、30歳で一念発起。“掃除のプロ集団”を作ろうと独立したんです」(福井氏)

  • 30歳で一念発起! 株式会社おそうじ革命(現・株式会社KIREI produce)設立当時の様子

    30歳で一念発起! 株式会社おそうじ革命(現・株式会社KIREI produce)設立当時の様子

  • 業界初の低コストバイク便モデルを構築するなど、さまざまな挑戦を行っていった

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