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企画の仕事 Part2|企画の組み立ては「情報力」「チーム力」がものを言う

 オリコン顧客満足度ランキング作りの“源流”となる「企画の仕事」について、引き続きご紹介します。前回の「企画の仕事 Part1」では、企画の要となる「情報収集」について詳しくご紹介しました。ここからは、今まで集めてきた材料(情報)を整理し、最終的な形に組み立てていく重要な業務を行っていきます。

1.集めた情報を形にする「企画書作成」

 企画の仕事にとって重要な「情報収集」を終えたら、今まで集めてきた情報を材料に「企画書」へと落とし込んでいきます。企画書の中身はランキングによって異なる部分もありますが、新規ランキング(そのテーマについて初めて調査、発表するランキングのこと)の大きな柱は、【1】ランキング調査の実施目的・意義、【2】市場・企業情報、【3】ランキング概要の3つです。

【1】の「ランキング調査の実施目的・意義」では、市場動向やユーザー・企業ニーズなどを統合的に見て、「なぜオリコン顧客満足度ランキングとして発表するのか?」という点をクリアにします。その根拠となるのが、前回ご紹介したデスクリサーチと各企業さま等のヒアリングで得た情報で、地道な情報収集がここで活きてきます。その情報をより具体的に【2】の「市場・企業情報」としてまとめ、どんなランキングとして発表するべきなのかイメージ(調査を行う企業・サービスや、回答者をどこに設定するかなど)を明確にしていきます。

 そのイメージをより具現化した内容が【3】の「ランキング概要」です。ランキングの定義、調査対象企業やサービス条件、調査対象者条件、ランキング構成など、フォーマットに当てはめながら調査の実施内容を作成していきます。何度もブラッシュアップを重ね、業界・ユーザー双方の納得度が高いランキングに仕上げていきます。

  • ランキング定義書

    ランキング定義書

  • ランキング構成

    ランキング構成

2.ランキング成功のカギを握る「調査票ミーティング」

 企画書作成と並行して行うのが、オリコン顧客満足度ランキング作りのプロセスにおいて「企画」の次の工程となる「設計」のチームメンバーとの「調査票ミーティング」です。この「調査票」がランキングの成功を決める重要なポイントとなります。企画チームがランキング案を考え、設計チームがより具体的な設問内容を調査票という形に落とし込んでいきます。

 オリコン顧客満足度ランキングでは、「満足度」という目に見えないモノを数値化して発表しています。回答者が実際に点数をつけていく「評価項目」を、設計チームとのミーティングで作成していきます。私をはじめとする企画担当が市場調査やヒアリングで得た情報を基にした項目案を、設計担当が内容を精査・プラッシュアップして最終的な評価項目を作成しています。(調査票や評価項目の詳しい内容は、次回の「調査設計の仕事」でご紹介します。お楽しみに!)

3.多角的な視点をキャッチアップする、各チームとの「ミーティング」

 設計担当以外にも、営業や広報などさまざまなチームと打ち合わせを行います。既存のランキング(1回以上発表したことがあるランキングのこと)では、営業チームから市場や企業の情報をキャッチアップし、昨年の調査内容から必要な修正や見直しがないかなど、方針を決めています。普段からさまざまな企業とコミュニケーションを取っている営業チームだからこそ得られる“生の声”は、とても貴重な情報です。

 ランキングのジャンルによっては、広報チームと一緒にPR戦略を立てることもあります。特にトレンドやユーザーニーズが高まっているランキングでは、メディアやユーザーの好奇心をそそる情報を発信することが重要です。満足度だけでなく、少し違った角度からの設問を加えるなど、新しい視点を取り入れた調査にしていきます。

4.調査の実施に向けた最後の大仕事「企画承認」

 企画にとって最後の大仕事は、事業部内で行う承認会議。作り上げてきた企画を実際に調査へと進めるため、作成した企画書を元に上長たちにプレゼンします。「このテーマで調査する意義は?」「対象企業・回答者の定義って本当にこれでいいんだっけ?」「こういう角度からの構成も考えるべきじゃない?」など、この場では企画に対してざっくばらんに意見をいただき、見直しが必要となった場合は内容を再検討する必要があります。

 このことをメンバー間では“宿題が出た”と言っています。自分では気づけなかった矛盾や考え方、異なる視点からの意見をいただくときは目からウロコが落ちる思いですが、そういった部分を改善していくことでより良い企画になっていきます(とは言いつつも、企画の方向性や根本から見直すほどの大きな宿題が出たときには、頭を抱えることもあります……)。

 一度でOKが出ることもあれば、複数回にわたって見直しを行うことも。すべての課題をクリアにし「企画承認」が得られたところで、ようやく企画の仕事は完了。いよいよ調査実施へと動き出します。

 2回にわたってご紹介しましたが、これが「企画の仕事」の大きな流れです。市場調査やヒアリングでの情報収集、各チームとの情報共有ミーティングを経て1つの企画を完成させます。「企画の仕事」は、意外かもしれませんが、地味な業務をコツコツと進めていくことがほとんどです。そして、コツコツ集めた情報の1つひとつがランキングを形成する重要なポイントとなります。

【次の工程】
>調査設計の仕事|“正解”ない調査票作り、担当者に求められるのは「正確性」と「決断力」