新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開幕日が後ろ倒しとなっている今年のプロ野球。未だ楽観視はできないものの、全国での緊急事態宣言の解除次第で6月19日開幕の動きが見られたり、チームでの練習再開の知らせが届いたりと、徐々に新シーズンへ向けての熱が高まりつつある状況だ。
そんななか、日本のサービス業における顧客満足、ロイヤルティの指数化などを研究している慶應義塾大学・鈴木秀男教授は5月、今年で12回目となる『プロ野球のサービスに関する(満足度)調査』結果を発表。昨シーズン、球団初の3年連続日本一に輝いた【福岡ソフトバンクホークス】が、2016年以来4年ぶり2回目の総合満足度1位を獲得し、満足度調査においても強さを見せた。
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同調査は、昨シーズン(2019年)1回以上、ホーム球場で試合観戦をしたことのあるファンに、最も応援するチームについての満足度を調査したもの。設問は5つのサービス品質(「チーム成績」、「チーム選手」、「球場」、「ファンサービス・地域貢献」、「ユニホーム・ロゴ」)からなる「総合満足度」と、「応援ロイヤルティ」、「観戦ロイヤルティ」の3つで構成されている。
19年シーズン、プロ野球の各球団サービス 総合満足度ランキング
順位(前年) |
球団名 |
総合満足度 |
1位 (↑2) |
福岡ソフトバンクホークス |
73.98 |
2位 (↓1) |
広島東洋カープ |
71.98 |
3位 (→3) |
埼玉西武ライオンズ |
71.38 |
4位 (↑5) |
横浜DeNAベイスターズ |
68.93 |
5位 (↑9) |
読売ジャイアンツ |
66.19 |
6位 (↑7) |
東北楽天ゴールデンイーグルス |
66.04 |
7位 (↓4) |
北海道日本ハムファイターズ |
64.99 |
8位 (→8) |
千葉ロッテマリーンズ |
62.55 |
9位 (↓6) |
東京ヤクルトスワローズ |
61.2 |
10位 (→10) |
阪神タイガース |
60.73 |
11位 (→11) |
オリックス・バファローズ |
54.17 |
12位 (→12) |
中日ドラゴンズ |
49.97 |
「FUKUOKA超・ボールパーク宣言」で、ファン・地域との関係性を強化
就任5年目となる工藤公康監督のもと、昨シーズンを戦ったホークス。パ・リーグ優勝こそ逃したものの、クライマックスシリーズを勝ち抜いて日本シリーズに進み、見事4連勝で球団史上初の快挙となる3年連続日本一に輝いた。柳田悠岐選手や松田宣浩選手、今宮健太選手など、選手個々人の活躍と団結力による“チームの強さ”はもちろんだが、同球団といえば、従前のボールパークの枠にとどまらない、エンターテインメント性の高いアプローチも支持を集める理由の1つ。
球団は、18年に創設80周年、19年に福岡移転30周年という節目を迎えるにあたり「FUKUOKA超・ボールパーク宣言」を発令(※18年4月)。従前のボールパークの枠にとどまらない、非日常・革新的な次世代型の複合エンターテインメントを体感できる空間を、地域一帯となって創出しようとする取り組みで、エキサイティングな演出を実現するための球場改修を行ったり、今年はドーム敷地内にエンターテイメントビル「E・ZO FUKUOKA」が開業予定(時期未定)。
また、女性ファン向けのイベント「タカガールデー」等の“○○デー”と銘打った取り組みや、毎年デザインされる限定ユニホームをホークス選手が着用し公式戦に臨む「鷹の祭典」の開催。近年は開幕戦も盛大に行われており、19年はゆずのオープニングアクトや平原綾香による国歌独唱、福岡出身の女優・今田美桜(みお ※もしくはルビに)が登場しての始球式など、プレイボールの前から球団ファンを大いに楽しませ、また新規ファン獲得へ向けた“接点づくり”にも積極的だった。
鈴木教授は、「(ホークスは)球場でのファンサービス、地域貢献活動の取り組みも良いとされ、その結果から、チーム・選手の魅力、ファンサービス・地域貢献などが高い評価を得ている。総合力で高水準を維持している」と分析。調査では、「そのチームには独自のスタイル(戦術、チーム方針など)を感じる」「試合時のそのチームの選手のパフォーマンス(得点時やホームランのときのパフォーマンスなど)が良い」「球場のビジョン・音響設備」「球場スタッフの対応」などの設問で特に評価が高く、前回16年調査で総合満足度1位を獲得した際のスコア平均値を上回った(72.59→73.98)。
※同球団の球団名の変遷:(大阪を拠点)南海軍→近畿日本軍→グレートリング→南海ホークス→(福岡へ移転)福岡ダイエーホークス→福岡ソフトバンクホークス