ケーススタディ

カギは「人間力」に “売上高14位”の住友林業ホームサービス、顧客満足度No.1の舞台裏

 不動産仲介業のなかでも“花形”との見方もある「マンション売買」において、高い満足度を誇る住友林業ホームサービス。仲介会社の規模としては決して大きくはなく、不動産流通推進センター発表の「2020不動産業統計集(9月期改訂)」によると、売上高では業界14位にいるが(2020年3月時点の売上高)、オリコン顧客満足度ランキングではマンション売却と購入、2つのランキングで首位を獲得している。大手をしのぐ顧客満足を実現するその裏にある取り組みとは?
(インタビュー・文/河上いつ子)

不動産仲介業において最も重要なのは、個々の「人間力」を上げていくこと

 住友林業ホームサービスが、オリコン顧客満足度ランキングの「不動産仲介 売却 マンション ランキング(外部リンク)」で首位を獲得するのは、2年連続4度目。加えて今年は、「不動産仲介 購入 マンション ランキング(外部リンク)」においても初めて首位を獲得した。両ランキングともに満足度総合だけでなく、サービス構成に沿って設定された「評価項目別ランキング(売却は8項目、購入は6項目)」において、全項目で1位を獲得するという快挙も成し遂げた。

サービスを利用・選定する際(利用前)にユーザーが重要視した項目

 同調査データによると、顧客がサービスを選ぶ際(利用前)にとくに重視しているのは【担当者の接客力】、【担当者の提案力】、【問い合わせ対応】の3つ。これらの評価を左右するものとして共通するのは「人(従業員)」だが、同社が企業の財産として捉えているものも「人材(同社では、人財と称している)」。高評価の要因は、ひとえに人財を磨く取り組みにあると言える。代表取締役社長の櫻井清史氏は言う。

住友林業ホームサービス 代表取締役社長・櫻井清史氏 (C)oricon ME inc.

住友林業ホームサービス 代表取締役社長・櫻井清史氏 (C)oricon ME inc.

「仲介業には自社の商品がありません。経営資源は何かといえば“人”です。私は3年前の社長就任以来、社員たちにはよく『仲介品質を上げよう』と話しているのですが、仲介品質を上げるというのは、社員1人ひとりの『人間力』を上げていくということ。とかく報酬や営業成績を最優先に考えがちな業界ですが、不動産仲介業において最も重要なのは、個々の人間力を上げていくことだと考えています」(櫻井社長)

>働き方改革も進行中! 櫻井清史社長 インタビュー全文はこちら

1件の資料作りに半日費やすことも、最適な提案をするためならとことん向き合う

 人間力が磨かれていっている様は、直接的に顧客と向き合う営業担当者たちの話からも垣間見ることができる。城南支店 第2営業所 マネージャーの市岡卓也氏は語る。

住友林業ホームサービス 城南支店 第2営業所 マネージャーの市岡卓也氏 (C)oricon ME inc.

住友林業ホームサービス 城南支店 第2営業所 マネージャーの市岡卓也氏 (C)oricon ME inc.

「私がお客さまと向き合うとき、まずは何事においてもとにかく早く対応することを心がけています。また、私が担当している東京・港区の地域は高単価なので、売却にあたっては、不動産を売ることだけでなく、税金や相続、売却した資金をどう運用するかなど、売却に絡んで発生するさまざまな問題についてもご相談に乗ることができるよう、社内の勉強会などに参加して知識を深めています。場合によっては、商談の際、税理士や生命保険の営業担当者に同席していただくなどもしており、少しでもお客さまに寄り添ったきめ細やかな対応ができるよう努力しています」(市岡氏)

 1件の資料作りに半日費やすこともあるという市岡氏。お客さまから「『他社にも相談したけれど、ここまで自分のために時間を割いてくれた人はいなかったからあなたに任せたい』と言われたときは本当にうれしい」(市岡氏)と笑みをこぼす。一方、購入に関して、人間力を上げる努力を重ねていると感じられる顧客対応にはこんな例がある。東京・立川エリアを担当する、立川店 アシスタントマネージャーの松本勝哉氏はこう話す。

住友林業ホームサービス 立川店 アシスタントマネージャーの松本勝哉氏 (C)oricon ME inc.

住友林業ホームサービス 立川店 アシスタントマネージャーの松本勝哉氏 (C)oricon ME inc.

「交通面や保育園事情など、そのエリアにおけるさまざまな生活情報について、住んでいる方に聞いたり、直接行政に問い合わせたりするなどして、お客さまにとって役立つ情報をお話しできるように心がけています。立川はファミリー層からご高齢者の方まで、お客さまの年齢層もご職業も幅広いので、常日頃からさまざまなことに興味を持って情報を収集し、雑談のなかで情報提供をすることにより、お客さまとの信頼関係を築けるようにしています」(松本氏)

 “信頼を得る”という意味では、以下に紹介するような誠実な対応も、高いお客さま満足につながる大きな要因と考えられる。

「不動産の売却では、まず査定金額をなるべく高く設定してお客さまに喜んでいただき、任せてもらうというのが営業の一般的なセオリーだと思います。ですが、高く設定して1ヶ月〜2ヶ月経っても売れず、金額を下げていくというのでは、お客さまのためになりません。ですから、たとえ他社が高い査定をしていたとしても、しっかりと根拠を示せる資料を作成したうえで、適正な価格を提示してご理解いただけるようにしています」(前出/市岡氏)

「売却理由、購入動機、家族構成、住み替えが必要なときはその理由など、お客さまの状況を深掘りしていくと、そのお客さまにとって、売却や購入のベストなタイミングは今ではないと判断できるときもあります。そういうときは、きちんとその旨をご説明し、ご提案させていただいています」(前出/松本氏)

 顧客にとって、「自分たちにとって一番良い方法を親身になって考えてくれている」という真摯な姿勢は心に響くもの。今は売買を辞めておいたほうがいいと伝えたとしても、その時に提案した時期を目処に、再び来店してくれる人は多いという。